内耳性聴覚障害に対するステロイド効果発現部位の検討

内耳性聴覚障害に対するステロイドの効果発現部位を明らかにする事を目的に, 内耳での局在が報告されているグルココルチコイドレセプター (GR) の拮抗剤を音響曝露後に投与し, 内耳性聴覚障害の回復過程にどのように働くのかを検討した。加えて, 突発性難聴の予後予測に対する歪み成分耳音響放射 (DPOAE) の有用性を明らかにする事を目的に, 入院の上ステロイド投与および高気圧酸素療法を行った突発性難聴耳を対象として, 聴力予後とDPOAE出力改善との関係についても検討した。騒音曝露後の回復過程では, かなりの強大音曝露後のCAP閾値回復に対しGR拮抗剤は阻害作用を示したが, DPOAE出力は変化せ...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 50; no. 2; pp. 150 - 156
Main Authors 森, 貴稔, 藤村, 和伸, 藤村, 武之, 塩盛, 輝夫, 上田, 成久, 鈴木, 秀明
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 2007
日本聴覚医学会
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Summary:内耳性聴覚障害に対するステロイドの効果発現部位を明らかにする事を目的に, 内耳での局在が報告されているグルココルチコイドレセプター (GR) の拮抗剤を音響曝露後に投与し, 内耳性聴覚障害の回復過程にどのように働くのかを検討した。加えて, 突発性難聴の予後予測に対する歪み成分耳音響放射 (DPOAE) の有用性を明らかにする事を目的に, 入院の上ステロイド投与および高気圧酸素療法を行った突発性難聴耳を対象として, 聴力予後とDPOAE出力改善との関係についても検討した。騒音曝露後の回復過程では, かなりの強大音曝露後のCAP閾値回復に対しGR拮抗剤は阻害作用を示したが, DPOAE出力は変化せず, 内耳の中でも内有毛細胞周囲に影響を与えたのではないかという結果が示唆された。また突発性難聴の聴力改善とDPOAE出力改善との間には有意な相関は認められず, 治療の効果発現部位は外有毛細胞以外の部位なのではないかと考えられた。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.50.150