血球貪食症候群,急性腎不全,消化管穿孔を合併したサイトメガロウイルス筋炎の60歳男性例
60歳男性.急性腎不全と血球貪食症候群のため入院した.免疫学的治療により腎機能と血球貪食所見は改善したが,その後数日の経過で血清CK値上昇と四肢筋力低下が出現した.体幹筋よりも下肢近位筋に筋力低下のアクセントがあり,免疫学的治療の中止後も筋力が自然経過で改善した点からウイルス性筋炎を疑った.経過中に盲腸穿孔をきたし,腸管病理でサイトメガロウイルス(cytomegalovirus; CMV)感染が証明され,血清IgG型抗CMV抗体価が著増していたことから,CMVの再活性化が一連の病態の契機になったと考えた.血球貪食症候群,急性腎不全,筋炎,腸炎は各々CMV感染の合併症であるが,本症例は一連の病態...
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Published in | 臨床神経学 Vol. 58; no. 7; pp. 423 - 429 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2018
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Subjects | |
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ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001119 |
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Summary: | 60歳男性.急性腎不全と血球貪食症候群のため入院した.免疫学的治療により腎機能と血球貪食所見は改善したが,その後数日の経過で血清CK値上昇と四肢筋力低下が出現した.体幹筋よりも下肢近位筋に筋力低下のアクセントがあり,免疫学的治療の中止後も筋力が自然経過で改善した点からウイルス性筋炎を疑った.経過中に盲腸穿孔をきたし,腸管病理でサイトメガロウイルス(cytomegalovirus; CMV)感染が証明され,血清IgG型抗CMV抗体価が著増していたことから,CMVの再活性化が一連の病態の契機になったと考えた.血球貪食症候群,急性腎不全,筋炎,腸炎は各々CMV感染の合併症であるが,本症例は一連の病態を短期間で呈した初の報告である. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001119 |