風疹ウイルスの胎内感染例
風疹ウイルスの胎内感染に関連する症例について, ウイルス学的検討を行つた. いずれも妊娠初期に発疹性疾患に罹患し, 風疹HI抗体を測定したもので, 第1例はHI 64倍で妊娠を継続したところ先天性風疹症候群児が出生, 死後剖検が行われ, 風疹ウイルスが分離された. 第2例は, HI 256倍で妊娠の中絶が行われ, 流産胎児より風疹ウイルスが分離された. 第3例はHI 128倍で同じく中絶が行われたが, ウイルス分離は陰性であつた. 妊婦の血清風疹抗体価から胎内感染を予測することは, ときには極めて困難な場合があり, 先天性風疹症候群の発生予防には, さらに努力すべき点のあることを述べた. また...
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Published in | 医療 Vol. 40; no. 11; pp. 1055 - 1058 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1986
医療同好会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.40.1055 |
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Summary: | 風疹ウイルスの胎内感染に関連する症例について, ウイルス学的検討を行つた. いずれも妊娠初期に発疹性疾患に罹患し, 風疹HI抗体を測定したもので, 第1例はHI 64倍で妊娠を継続したところ先天性風疹症候群児が出生, 死後剖検が行われ, 風疹ウイルスが分離された. 第2例は, HI 256倍で妊娠の中絶が行われ, 流産胎児より風疹ウイルスが分離された. 第3例はHI 128倍で同じく中絶が行われたが, ウイルス分離は陰性であつた. 妊婦の血清風疹抗体価から胎内感染を予測することは, ときには極めて困難な場合があり, 先天性風疹症候群の発生予防には, さらに努力すべき点のあることを述べた. また第1例より分離したウイルスと野性標準株との性状の差について, これまでのデータとあわせて, 先天性風疹症候群分離株の特殊性を推論した. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.40.1055 |