プリオン蛋白遺伝子のオクタペプチドリピート4回挿入を認めた遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病の1例
症例は男性,60歳から物忘れ,歩行障害,動作緩慢が出現,パーキンソン病や多系統萎縮症として近医加療受けていたが,軽度の意識障害も加わり入院となった.意識障害が1年の経過で悪化し無動無反応となった.臨床症状ではミオクローヌスはみられず,四肢の粗大な振戦の不随意運動があり,脳波で周期性同期性放電(periodic synchronous discharge)及び頭部MRI拡散強調画像で大脳皮質の高信号所見を認めなかった.プリオン蛋白遺伝子検査でオクタペプチドリピート(octapeptide repeat,以下OPRと略記)領域に4回の繰り返し挿入変異が確認され遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病と診断...
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Published in | 臨床神経学 Vol. 61; no. 5; pp. 314 - 318 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2021
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Subjects | |
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Summary: | 症例は男性,60歳から物忘れ,歩行障害,動作緩慢が出現,パーキンソン病や多系統萎縮症として近医加療受けていたが,軽度の意識障害も加わり入院となった.意識障害が1年の経過で悪化し無動無反応となった.臨床症状ではミオクローヌスはみられず,四肢の粗大な振戦の不随意運動があり,脳波で周期性同期性放電(periodic synchronous discharge)及び頭部MRI拡散強調画像で大脳皮質の高信号所見を認めなかった.プリオン蛋白遺伝子検査でオクタペプチドリピート(octapeptide repeat,以下OPRと略記)領域に4回の繰り返し挿入変異が確認され遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病と診断された.OPR挿入変異例は報告が少なく,その臨床症状,検査所見に多様性があり,診断には遺伝子検査が重要である. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001558 |