M蛋白血症を伴った悪性リンパ腫による馬尾症候群の1例

症例は63歳男性.左臀部から左下肢のしびれ,下肢筋力低下,膀胱直腸障害などの馬尾症候群を発症し,亜急性に症状が進行し入院した.腰仙髄造影MRIにて馬尾下部領域に造影効果を認め,神経伝導検査では両側脛骨神経の導出が不良で,腓骨神経はF波潜時の延長を認めた.M蛋白血症を認め,多発性骨髄腫を疑ったが,血清可溶性IL-2受容体が4,490 U/mlと著高で,FDG-PETにて椎体,馬尾の集積増加を認めた.L4椎弓根生検にてび漫性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断し,R-CHOP(rituximab, cyclophosphamide, hydroxydaunorubicin, oncovin, predn...

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Published in臨床神経学 Vol. 58; no. 4; pp. 223 - 228
Main Authors 道具, 伸浩, 田口, 芳治, 山本, 真守, 中辻, 裕司, 温井, 孝昌, 小西, 宏史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2018
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001079

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Summary:症例は63歳男性.左臀部から左下肢のしびれ,下肢筋力低下,膀胱直腸障害などの馬尾症候群を発症し,亜急性に症状が進行し入院した.腰仙髄造影MRIにて馬尾下部領域に造影効果を認め,神経伝導検査では両側脛骨神経の導出が不良で,腓骨神経はF波潜時の延長を認めた.M蛋白血症を認め,多発性骨髄腫を疑ったが,血清可溶性IL-2受容体が4,490 U/mlと著高で,FDG-PETにて椎体,馬尾の集積増加を認めた.L4椎弓根生検にてび漫性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断し,R-CHOP(rituximab, cyclophosphamide, hydroxydaunorubicin, oncovin, prednisone(prednisolone))療法を行い症状の改善が得られた.M蛋白血症を伴う馬尾症候群の場合,悪性リンパ腫の可能性も考慮すべきである.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001079