電気メスのみで区域間切離を完遂しえた末梢小型肺癌に対する右S^3区域切除術

背景.われわれは1992年以来,末梢2cm以下非小細胞肺癌の術中リンパ節検索NO判明例に対し,拡大区域切除術を行ってきた.症例.56歳,女性.検診で胸部異常影を指摘された.腫瘍は右S^3bに存在し,径11mmであった.気管支鏡下擦過細胞診は陰性であったが悪性が疑われるため,手術が施行された.前側方第4肋間に55×64mmのaccess thoracotomyを置き,胸腔鏡補助下に手術を行った.V^3各分枝を結紮切断後,A^3を露出し,切断した.A^3裏面に出現するB^3をテーピングした後,気管支鏡下にジェットベンチレーションを行って選択的に上葉の含気を戻した.この後,B^3を結紮,糸の中枢でB...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 24; no. 7; pp. 538 - 541
Main Authors 坪田, 紀明, 阪本, 俊彦, 西尾, 渉, 原田, 洋明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2002
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.24.7_538

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Summary:背景.われわれは1992年以来,末梢2cm以下非小細胞肺癌の術中リンパ節検索NO判明例に対し,拡大区域切除術を行ってきた.症例.56歳,女性.検診で胸部異常影を指摘された.腫瘍は右S^3bに存在し,径11mmであった.気管支鏡下擦過細胞診は陰性であったが悪性が疑われるため,手術が施行された.前側方第4肋間に55×64mmのaccess thoracotomyを置き,胸腔鏡補助下に手術を行った.V^3各分枝を結紮切断後,A^3を露出し,切断した.A^3裏面に出現するB^3をテーピングした後,気管支鏡下にジェットベンチレーションを行って選択的に上葉の含気を戻した.この後,B^3を結紮,糸の中枢でB^3を切断しS^3の含気を保持した.B^3を縫合の間にS^1,S^2は徐々に虚脱するので区域間をなす含気-虚脱線が明瞭となった.同線に沿って電気メスのみで区域間切離を完遂しえた,切離面の約30%を胸膜で縫合閉鎖したが,残りはbareのままとした.air leakは術後2日目に停止した.病理診断は高分化型腺癌,pT1N0M0 stage LAであった.術後経過は順調で肺機能の損失も軽微であった.結論.胸腔鏡補助下の区域切除術は低侵襲性と機能温存を兼ね備えた術式である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.24.7_538