脳幹梗塞発症から10時間後にくも膜下出血を来した椎骨動脈解離性動脈瘤の1例
症例は57歳の男性.突然に発症した後頸部痛と嘔気を主訴に当院へ救急搬送された.椎骨動脈解離による延髄外側症候群と診断し,アルガトロバンによる抗凝固療法を開始した.発症から10時間後,強い頭痛を訴えた後に意識障害が出現し(JCS III-200),頭部CTにてくも膜下出血を認めた.緊急で脳血管撮影を行い,解離性椎骨動脈瘤破裂と判断して病変を含む母動脈のコイル塞栓術を行ったが,くも膜下出血発症後の4日後に死亡された.虚血発症の解離性動脈瘤に対する抗凝固,抗血小板療法の使用に対する明確な治療指針はないのが現状であるが,続発するくも膜下出血の可能性があり,その使用には厳重な注意が必要であると考えられた...
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Published in | 脳卒中 Vol. 34; no. 6; pp. 429 - 434 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2012
日本脳卒中学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.34.429 |
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Summary: | 症例は57歳の男性.突然に発症した後頸部痛と嘔気を主訴に当院へ救急搬送された.椎骨動脈解離による延髄外側症候群と診断し,アルガトロバンによる抗凝固療法を開始した.発症から10時間後,強い頭痛を訴えた後に意識障害が出現し(JCS III-200),頭部CTにてくも膜下出血を認めた.緊急で脳血管撮影を行い,解離性椎骨動脈瘤破裂と判断して病変を含む母動脈のコイル塞栓術を行ったが,くも膜下出血発症後の4日後に死亡された.虚血発症の解離性動脈瘤に対する抗凝固,抗血小板療法の使用に対する明確な治療指針はないのが現状であるが,続発するくも膜下出血の可能性があり,その使用には厳重な注意が必要であると考えられた. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.34.429 |