CYP遺伝子多型解析の病棟業務への応用

「緒言」 薬物療法におけるTDMの重要性は述べるまでもなく, 薬剤師が医療チームの一員として行う服薬指導や病棟業務においてTDMはその業務上有用なツールである. 一方近年, ゲノムサイエンスの進歩は著しく, これは遺伝子治療, 各種の遺伝病や悪性腫瘍, 感染症等の診断などに応用され, 現在, 医療を急速に進展させている. 薬物の体内動態においては薬理遺伝学の研究により, 種々の薬物代謝酵素の遺伝的多型が代謝における大きな個体差の原因の一つであることが明らかにされてきた. これらゲノムサイエンスの進歩が調剤をはじめTDM, 病棟業務, 服薬指導や治験管理など薬剤師の多くの業務に少なからず影響を与...

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Published in医療薬学 Vol. 27; no. 3; pp. 228 - 234
Main Authors 大和田, 栄治, 板谷, 幸一, 石井, 清二, 黒澤, 菜穂子, 端, 和夫, 島本, 和明, 梅津, 有理, 伊林, 至洋, 加藤, 芳伸, 岡崎, 正子, 土橋, 和文, 前野, 康次郎, 戸田, 貴大, 鎌滝, 哲也, 千田, 道洋, 大山, 徹, 斉藤, 嘉津彦, 清水, 瓊子, 有吉, 範高
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2001
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.27.228

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Summary:「緒言」 薬物療法におけるTDMの重要性は述べるまでもなく, 薬剤師が医療チームの一員として行う服薬指導や病棟業務においてTDMはその業務上有用なツールである. 一方近年, ゲノムサイエンスの進歩は著しく, これは遺伝子治療, 各種の遺伝病や悪性腫瘍, 感染症等の診断などに応用され, 現在, 医療を急速に進展させている. 薬物の体内動態においては薬理遺伝学の研究により, 種々の薬物代謝酵素の遺伝的多型が代謝における大きな個体差の原因の一つであることが明らかにされてきた. これらゲノムサイエンスの進歩が調剤をはじめTDM, 病棟業務, 服薬指導や治験管理など薬剤師の多くの業務に少なからず影響を与え, 今後, 変化させることは必至であると考えられる. そこでTDMや服薬指導などに活かすべくCYP2C9, CYP2C19遺伝子などの多型解析を行い, 徐々にこれらの業務に取り入れる試みを行ってきた. 現在, 薬物代謝酵素遺伝子の多型解析を病棟業務などに応用した報告は見あたらず, 今回, 不備であったと考えられる初期に行った症例を含むいくつかの例より, その有用性や留意しなければならない点などについて検討した.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.27.228