鎖骨近位骨端線損傷の2例

今回我々は稀な鎖骨近位骨端線損傷を2例経験したので報告する.症例は15歳と16歳の男児で2例とも後方に転倒し相手に乗られ同時に鎖骨近位を前方から圧迫されて受傷,一人は初診時に他院で見逃されていた.当院初診時は胸鎖関節部の疼痛を認め,X線およびCTにて鎖骨近位の後方転位を認めた.全身麻酔下に徒手整復試みたが整復困難であり,吸収性スクリューおよび縫合法を用いての観血的整復固定術を行った.術中所見で骨端線損傷と診断した.術後は特に外固定は行わず,2例とも術後3ケ月からスポーツ復帰を許可し,再転位なく経過良好である.文献によると鎖骨近位骨端線損傷の後方転位例は胸鎖関節脱臼と鑑別を要するが,その多くは術...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 61; no. 4; pp. 732 - 736
Main Authors 崎村, 幸一郎, 中添, 悠介, 中原, 信一, 衛藤, 正雄, 川口, 耕平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2012
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.61.732

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Summary:今回我々は稀な鎖骨近位骨端線損傷を2例経験したので報告する.症例は15歳と16歳の男児で2例とも後方に転倒し相手に乗られ同時に鎖骨近位を前方から圧迫されて受傷,一人は初診時に他院で見逃されていた.当院初診時は胸鎖関節部の疼痛を認め,X線およびCTにて鎖骨近位の後方転位を認めた.全身麻酔下に徒手整復試みたが整復困難であり,吸収性スクリューおよび縫合法を用いての観血的整復固定術を行った.術中所見で骨端線損傷と診断した.術後は特に外固定は行わず,2例とも術後3ケ月からスポーツ復帰を許可し,再転位なく経過良好である.文献によると鎖骨近位骨端線損傷の後方転位例は胸鎖関節脱臼と鑑別を要するが,その多くは術中所見で診断が確定するとされる.胸鎖関節後方脱臼と同様に,気管や大血管などの縦隔内臓器損傷の可能性があるため,早期に確実な整復および固定が望ましいと考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.61.732