ローム台地のS波速度構造と地盤震動特性:栃木県宇都宮地域を例に

一般に地盤が良いとされるローム台地において,ローム層が地盤震動特性に与える影響を知るために,栃木県宇都宮地域で段丘面ごとに微動アレイ観測を行った.その結果,調査地域の段丘を覆うローム層はS波速度が130~150m/sと低いこと,また古い段丘ほどローム層が厚いために深度30mまでの平均S波速度は低く,H/Vスペクトルのピーク周波数も低周波側にシフトすることが明らかになった.一方で,鬼怒川や五行川などの河床は主に礫質堆積物からなりローム層を欠くため,河川沿いの低地では平均S波速度は高く,H/Vスペクトルでは高周波にピークがみられた.つまり調査地域では,低地面や低位の段丘ほど堅固な地盤であり,高位の...

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Published in地質学雑誌 Vol. 126; no. 6; pp. 311 - 326
Main Authors 長, 郁夫, 坂田, 健太郎, 中澤, 努
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 15.06.2020
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.2020.0012

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Summary:一般に地盤が良いとされるローム台地において,ローム層が地盤震動特性に与える影響を知るために,栃木県宇都宮地域で段丘面ごとに微動アレイ観測を行った.その結果,調査地域の段丘を覆うローム層はS波速度が130~150m/sと低いこと,また古い段丘ほどローム層が厚いために深度30mまでの平均S波速度は低く,H/Vスペクトルのピーク周波数も低周波側にシフトすることが明らかになった.一方で,鬼怒川や五行川などの河床は主に礫質堆積物からなりローム層を欠くため,河川沿いの低地では平均S波速度は高く,H/Vスペクトルでは高周波にピークがみられた.つまり調査地域では,低地面や低位の段丘ほど堅固な地盤であり,高位の段丘ほどローム層が厚く,軟らかい地盤であるといえる.高位の段丘では,地震の際にやや低周波の揺れが大きく増幅される可能性がある.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.2020.0012