Fusobacterium nucleatumによる肺化膿症の1例

呼吸器感染症において, 嫌気性菌が起炎菌として分離されることはまれでなく, すでに本菌群による呼吸器感染症症例が数多く報告されている1~2) 。これにくらべ, 本邦においては, これらの症例綴告はきわめて少癒く, 二宮ら3) は, 鎌気性菌による呼吸器感染症の重要性を指摘し, 嫌気培養が広くおこなわれるべきであることを強翻している。従来から, 口腔内には魔気性菌が多数常在していることから, 喀痰を鎌気培養して起炎菌を決定することは, きわめて無意味であるといわれている1) 。したがつて, 呼吸器感染症において, 鎌気性菌を起炎薗として分離するためには気管支局所採痰4), TTA (Transt...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 31; no. 3; pp. 145 - 148
Main Authors 舟田, 久, 藤田, 信一, 岡藤, 和博, 服部, 絢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 01.03.1978
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.31.145

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Summary:呼吸器感染症において, 嫌気性菌が起炎菌として分離されることはまれでなく, すでに本菌群による呼吸器感染症症例が数多く報告されている1~2) 。これにくらべ, 本邦においては, これらの症例綴告はきわめて少癒く, 二宮ら3) は, 鎌気性菌による呼吸器感染症の重要性を指摘し, 嫌気培養が広くおこなわれるべきであることを強翻している。従来から, 口腔内には魔気性菌が多数常在していることから, 喀痰を鎌気培養して起炎菌を決定することは, きわめて無意味であるといわれている1) 。したがつて, 呼吸器感染症において, 鎌気性菌を起炎薗として分離するためには気管支局所採痰4), TTA (Transtracheal aspiration), または病巣部の経皮的肺穿刺によつて得られた材料, 胸水等を嫌気培養する必要がある。しかし, 急性呼吸器感染症において, これらの検査をすべての症例に実施すること絃困難であり, 喀痰を使用しなければならないばあいが多い5) 。 最近, われわれは, てんかん発作を背景に発症し, 喀痰のグラム染色塗抹所見および涜浄後の喀痰を嫌気的に定量培養することによつて, Fusobacterium nucleatumを起炎菌と推定しえた肺化膿症の1例を経験した。本報告では, 症例の捷示とともに喀痰の嫌気定量培養の有用性について考察を加えてみた。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.31.145