歯周疾患における免疫関与細胞の役割

免疫応答に関与する細胞 免疫応答の源は細胞である. 免疫関与細胞は多能性の造血幹細胞から分化する. 造血幹細胞はリンパ系幹細胞と骨髄系幹細胞に分化する. リンパ系幹細胞から, T細胞とB細胞が分化成熟する. 骨髄系幹細胞からは, 一定の細胞に成熟する能力をもった脾内コロニー形成単位(CFU)に分化した後, マクロファージ, 好中球, 好塩基球, 肥満細胞, 血小板などの免疫関与細胞に分化成熟する. 多形核白血球 多形核白血球(polymorphonuclear leukocytes:PMN)は生体防御の第一線を担う食細胞である. 歯肉溝において, 歯周病原性細菌がはじめに出会う細胞がPMNであ...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 38; no. 3; pp. 243 - 260
Main Authors 須田, 聡, 杉田, 典子, 青柳, 敏彦, 原, 耕二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 1996
日本歯周病学会
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.38.243

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Summary:免疫応答に関与する細胞 免疫応答の源は細胞である. 免疫関与細胞は多能性の造血幹細胞から分化する. 造血幹細胞はリンパ系幹細胞と骨髄系幹細胞に分化する. リンパ系幹細胞から, T細胞とB細胞が分化成熟する. 骨髄系幹細胞からは, 一定の細胞に成熟する能力をもった脾内コロニー形成単位(CFU)に分化した後, マクロファージ, 好中球, 好塩基球, 肥満細胞, 血小板などの免疫関与細胞に分化成熟する. 多形核白血球 多形核白血球(polymorphonuclear leukocytes:PMN)は生体防御の第一線を担う食細胞である. 歯肉溝において, 歯周病原性細菌がはじめに出会う細胞がPMNであり, 細菌感染に対して主に非特異的生体防御の役割を担うエフェクター細胞と位置づけられると共に, 近年, 免疫応答の重要な制御因子であることも次第に明らかにされっっある. PMNは歯肉溝滲出液(gingival crevicular fluid:GCF中の細胞の90%以上を占める1). その内訳は, 好中球86%, 好酸球6%, 好塩基球8%と, 末梢血中のPMNに比べ好酸球, 好塩基球の割合が有意に高い2). 健康歯肉の歯肉溝にもPMNの遊走は認められるが, 炎症の進行に伴いその数は増加する. 特に急性期には著しい増加を示す.
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.38.243