肛門管粘膜切除部に癌の合併を認めた潰瘍性大腸炎手術症例の検討

目的:潰瘍性大腸炎(以下UC)患者において,回腸嚢肛門吻合術(以下IPAA)を行った症例で,粘膜切除部に癌を合併した症例の臨床的特徴を検討し,粘膜切除を行うことが望ましい患者群を明らかにすること.対象と方法:2003年1月から2006年12月までにIPAAを行った全症例319例の肛門管粘膜切除部の病理検査を行った.直腸粘膜切除部断端(歯状線部)から2.5cmまでを粘膜切除部と定義した.結果:319例中4例(1.3%)の粘膜切除部に癌の合併を認めた.手術適応は1例が高分化型腺癌で,残りの3例はhigh grade dysplasia(以下HGD)であった.切除標本の病理検査では4例ともに癌病変の...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 61; no. 8; pp. 516 - 520
Main Authors 塚本, 潔, 池内, 浩基, 西上, 隆之, 松岡, 宏樹, 冨田, 尚裕, 久野, 隆史, 竹末, 芳生, 樋田, 信幸, 中村, 光宏, 松本, 誉之, 大嶋, 勉, 野田, 雅史, 内野, 基, 田中, 慶太, 中村, 志郎, 外賀, 真, 中埜, 廣樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2008
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.61.516

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Summary:目的:潰瘍性大腸炎(以下UC)患者において,回腸嚢肛門吻合術(以下IPAA)を行った症例で,粘膜切除部に癌を合併した症例の臨床的特徴を検討し,粘膜切除を行うことが望ましい患者群を明らかにすること.対象と方法:2003年1月から2006年12月までにIPAAを行った全症例319例の肛門管粘膜切除部の病理検査を行った.直腸粘膜切除部断端(歯状線部)から2.5cmまでを粘膜切除部と定義した.結果:319例中4例(1.3%)の粘膜切除部に癌の合併を認めた.手術適応は1例が高分化型腺癌で,残りの3例はhigh grade dysplasia(以下HGD)であった.切除標本の病理検査では4例ともに癌病変の多発が認められた.組織型は2例が高分化型腺癌で,残りの2例が扁平上皮癌であった.深達度は1例にsm浸潤が認められたが,残りの3例は粘膜内癌であった.結語:大腸にHGDを認めるUC症例は多発病変が多く, 粘膜切除部にも癌が合併する可能性があり, 粘膜切除をともなうIPAAの適応であると思われた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.61.516