胃噴門癌の食道浸潤に関する検討

噴門癌の食道浸潤はしばしば切除断端癌遺残(ow(+))の原因となつている. そこでow(+)予防のため, 食道浸潤に関して臨床病理学的に検討した. 今回, 食道胃接合部より癌の中心が3cm以内にある症例を噴門癌と定義した. この定義に相当する症例は1976年より1988年までに四国がんセンターで切除された胃癌症例1546例中120例で, 67例に食道浸潤をみた. 浸潤群と非浸潤群を比較すると, 術式, ow(+)の頻度, 予後に差が認められ, ow(+)が治療成績を悪化させる一因であつた. 食道浸潤型を組織学的に限局型, 中間型, 浸潤型, ly型, v型に分類すると, ow(+)はv型, l...

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Published in医療 Vol. 44; no. 9; pp. 878 - 883
Main Authors 森脇, 昭介, 万代, 光一, 多幾山, 渉, 土井原, 博義, 高嶋, 成光, 曽我, 浩之, 横山, 伸二, 元井, 信, 棚田, 稔, 栗田, 啓, 佐伯, 英行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1990
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.44.878

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Summary:噴門癌の食道浸潤はしばしば切除断端癌遺残(ow(+))の原因となつている. そこでow(+)予防のため, 食道浸潤に関して臨床病理学的に検討した. 今回, 食道胃接合部より癌の中心が3cm以内にある症例を噴門癌と定義した. この定義に相当する症例は1976年より1988年までに四国がんセンターで切除された胃癌症例1546例中120例で, 67例に食道浸潤をみた. 浸潤群と非浸潤群を比較すると, 術式, ow(+)の頻度, 予後に差が認められ, ow(+)が治療成績を悪化させる一因であつた. 食道浸潤型を組織学的に限局型, 中間型, 浸潤型, ly型, v型に分類すると, ow(+)はv型, ly型, 浸潤型に高頻度で, v型は肉眼的分類1および2型にみられた. また癌の口側最終浸潤層が外膜, 筋層にow(+)が高頻度だった. 以上より血管侵襲は限局型の食道浸潤形式として重要で, 口側切離線は迅速組織診を併用し, 慎重に決定すべきと考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.44.878