生理的口臭の要因に関する研究

健康な成人に発生する朝食前の生理的口臭に影響を与えている要因を明確にすることを目的として口臭測定と口腔内環境の調査を行った。また唾液と舌苔を採取しこれを培養して細菌学的検索を行い口臭との関連を検討した。対象は健康な成人男性44名 (平均年齢24.1歳) とした。口臭は官能試験とポータブルサルファイドモニター (Halimater RH-17E®), ガスクロマトグラフィを用いて測定した。 その結果, 全被験者に口臭が感知された。官能試験値をもとに対象者を群分けして検討した結果, ハリメーター値およびガスクロマトグラフィによる3種類のVSC (Volatile Sulphide Compound...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 44; no. 2; pp. 168 - 177
Main Authors 葛城, 啓彰, 齊藤, 幸枝, 大森, みさき
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 2002
日本歯周病学会
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.44.168

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Summary:健康な成人に発生する朝食前の生理的口臭に影響を与えている要因を明確にすることを目的として口臭測定と口腔内環境の調査を行った。また唾液と舌苔を採取しこれを培養して細菌学的検索を行い口臭との関連を検討した。対象は健康な成人男性44名 (平均年齢24.1歳) とした。口臭は官能試験とポータブルサルファイドモニター (Halimater RH-17E®), ガスクロマトグラフィを用いて測定した。 その結果, 全被験者に口臭が感知された。官能試験値をもとに対象者を群分けして検討した結果, ハリメーター値およびガスクロマトグラフィによる3種類のVSC (Volatile Sulphide Compounds) の濃度分析でいずれも有意差が認められた。また官能試験値, ハリメーター値と各VSC濃度との問ではいずれも有意な相関が認められた。各VSC濃度問の相関係数は総合VSCとH2Sとの間で最も高かった。舌苔付着度と舌苔の懸濁度 (濁度) は官能試験値とともに増加する傾向が示された。舌苔付着度に比例して濁度も高くなる傾向を認めた。舌苔中の総菌数, 好気性菌数, レンサ球菌数, 嫌気性菌数は官能試験値に比例して増加したが, 唾液中では差が認められなかった。舌苔付着度および濁度と, 舌苔中の総菌数, 好気性菌数, レンサ球菌数, 嫌気性菌数との間に相関が認められた。 以上より, 朝食前の生理的口臭は舌苔が主な原因となっており, その強さは総菌数に左右され, 発生した臭いは主にH2Sであると推測された。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.44.168