切除困難なS状結腸癌に対して術前mFOLFOX6で病理学的完全奏功が得られた1例
症例は36歳男性.2009年12月に排便困難,下血を主訴に近医を受診し,精査にてS状結腸癌の診断となり当科紹介入院となった.大腸内視鏡検査でS状結腸に内視鏡通過不能な全周性の腫瘍を認め,生検で低分化腺癌と診断された.CT検査所見にて,腫瘍は骨盤内を大きく占有し,膀胱への浸潤とリンパ節の腫大を認め(cT4N2),切除困難が予想された.患者よりIC取得後,術前mFOLFOX6導入し,4コース終了後に根治術を施行した.病理組織学的所見では,原発巣は線維化のみで癌細胞はなく(grade 3),リンパ節転移,膀胱壁への浸潤も認めず,病理学的完全奏功(CR)と診断した.局所進行大腸癌に対する術前mFOLF...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 64; no. 8; pp. 510 - 515 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2011
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.64.510 |
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Summary: | 症例は36歳男性.2009年12月に排便困難,下血を主訴に近医を受診し,精査にてS状結腸癌の診断となり当科紹介入院となった.大腸内視鏡検査でS状結腸に内視鏡通過不能な全周性の腫瘍を認め,生検で低分化腺癌と診断された.CT検査所見にて,腫瘍は骨盤内を大きく占有し,膀胱への浸潤とリンパ節の腫大を認め(cT4N2),切除困難が予想された.患者よりIC取得後,術前mFOLFOX6導入し,4コース終了後に根治術を施行した.病理組織学的所見では,原発巣は線維化のみで癌細胞はなく(grade 3),リンパ節転移,膀胱壁への浸潤も認めず,病理学的完全奏功(CR)と診断した.局所進行大腸癌に対する術前mFOLFOX6療法の妥当性は未だ確立されていないが,手術治療の根治性を高める上で有用と考えられた. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.64.510 |