一次免疫反応により産生された抗C+e抗体による遅発性溶血性輸血副作用を呈した1例

溶血性輸血副作用は, 非溶血性副作用に比して頻度は少ないものの, ひとたび発症すれば重篤な症状を呈する. 特にABO不適合にみられる急性溶血反応は時に致死的で, 発症防止のための対策が講じられている. しかし, ABO以外の血液型抗原に対する不規則抗体により生じる遅発性溶血性輸血副作用(DHTR)は, 妊娠歴, 輸血歴を有する患者に二次的免疫反応によって, 多くは2週間以内に発症するが, 輸血前にはDHTRの原因となる不規則抗体が検出感度以下で, その発症を予測することは困難である1)~3). また, 頻度的には少ないが一次的免疫反応による溶血反応も存在し, その発症は全く予想できない1)~3...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 51; no. 6; pp. 594 - 600
Main Authors 村上, 知教, 鎌田, 千鶴, 北澤, 淳一, 斉藤, 大文, 田中, 一人, 細川, 和子, 三上, 貴史, 生田, 満, 竹村, 篤人, 長谷川, 聖子, 猪股, 真喜子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2005
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.51.594

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Summary:溶血性輸血副作用は, 非溶血性副作用に比して頻度は少ないものの, ひとたび発症すれば重篤な症状を呈する. 特にABO不適合にみられる急性溶血反応は時に致死的で, 発症防止のための対策が講じられている. しかし, ABO以外の血液型抗原に対する不規則抗体により生じる遅発性溶血性輸血副作用(DHTR)は, 妊娠歴, 輸血歴を有する患者に二次的免疫反応によって, 多くは2週間以内に発症するが, 輸血前にはDHTRの原因となる不規則抗体が検出感度以下で, その発症を予測することは困難である1)~3). また, 頻度的には少ないが一次的免疫反応による溶血反応も存在し, その発症は全く予想できない1)~3). 今回我々は, 赤血球MAP(Ir-RC-MAP)輸血後の一次免疫反応によるDHTRを経験したので報告する. 症例 症例は, 69歳女性. 妊娠歴1回, 輸血歴あり(約20年前, 2,000ml, 詳細不明). 平成17年3月20日にくも膜下出血のために黒石病院脳神経外科において開頭術を受け, 翌21日より, 術後出血に対してRC-MAP1日2単位6日間の輸血を受けた(合計12単位, 初回輸血日を輸血後0日とする).
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.51.594