手術により改善した仙骨粉砕骨折による直腸肛門機能障害の1例

症例は21歳, 男性. ビルの3階より転落し, 踵より着地後にしりもちをついて転倒した. 仙骨レントゲンでは第2および第3仙骨が骨折し, 第3仙骨以下は前方に転位していた. また右仙骨孔に沿って縦骨折がみられた. 入院時には肛門周囲の皮膚感覚低下, 便の貯留感覚低下, 便・ガス失禁があった. 受傷後6, 14日目の直腸肛門内圧検査では, 随意収縮圧は認めなかった. 受傷後32日目にS2-4の全周性神経除圧術を施行, 受傷後49日目には随意収縮圧は4.9mmHgと若干の改善がみられた. 受傷後83日目には随意収縮圧は28.6mmHgと上昇, 固形便の失禁はなくなった. 受傷後200日目には随意収...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 60; no. 3; pp. 173 - 177
Main Authors 自見, 政一郎, 日高, 秀樹, 濱中, 秀昭, 佛坂, 正幸, 久保, 紳一郎, 千々岩, 一男, 江藤, 忠明, 上通, 一師
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2007
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.60.173

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Summary:症例は21歳, 男性. ビルの3階より転落し, 踵より着地後にしりもちをついて転倒した. 仙骨レントゲンでは第2および第3仙骨が骨折し, 第3仙骨以下は前方に転位していた. また右仙骨孔に沿って縦骨折がみられた. 入院時には肛門周囲の皮膚感覚低下, 便の貯留感覚低下, 便・ガス失禁があった. 受傷後6, 14日目の直腸肛門内圧検査では, 随意収縮圧は認めなかった. 受傷後32日目にS2-4の全周性神経除圧術を施行, 受傷後49日目には随意収縮圧は4.9mmHgと若干の改善がみられた. 受傷後83日目には随意収縮圧は28.6mmHgと上昇, 固形便の失禁はなくなった. 受傷後200日目には随意収縮圧は53.8mmHgと改善し, ガス失禁もみられなくなった. 直腸肛門内圧測定で症状の改善に先行して肛門管随意収縮圧の改善をとらえることができ, 以後, 症状の改善を客観的に評価することができた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.60.173