種々の血管系異常をともなった直腸びまん性海綿状血管腫の1例
症例は33歳, 男性. 生後2~3カ月時にHirshsprung病の疑いで, S状結腸人工肛門が造設され, その後閉鎖された. 2歳時には直腸血管腫に対し, 外照射治療を受けた (詳細不明). 今回, 繰り返すイレウスと下血の精査・加療を目的に紹介入院となった. 入院後イレウスは保存的に軽快したが, 下血の原因は直腸びまん性血管腫であり, これに対して, 直腸切除・結腸肛門吻合術を施行した. 術前の画像診断では指摘できなかったが, 開腹時に虫垂のほぼ全長にびまん性血管腫を認めたため, 虫垂切除術も同時に行った. 術後15カ月の現在, 下血はなく健在である. 本症例は直腸びまん性血管腫に虫垂びま...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 110 - 115 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2007
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.60.110 |
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Summary: | 症例は33歳, 男性. 生後2~3カ月時にHirshsprung病の疑いで, S状結腸人工肛門が造設され, その後閉鎖された. 2歳時には直腸血管腫に対し, 外照射治療を受けた (詳細不明). 今回, 繰り返すイレウスと下血の精査・加療を目的に紹介入院となった. 入院後イレウスは保存的に軽快したが, 下血の原因は直腸びまん性血管腫であり, これに対して, 直腸切除・結腸肛門吻合術を施行した. 術前の画像診断では指摘できなかったが, 開腹時に虫垂のほぼ全長にびまん性血管腫を認めたため, 虫垂切除術も同時に行った. 術後15カ月の現在, 下血はなく健在である. 本症例は直腸びまん性血管腫に虫垂びまん性血管腫を合併していたこと, 臀部の皮膚に血管腫, 左下腿に静脈性血管瘤, 内腸骨血管の動静脈瘻を併存しており, Blue rubber bleb syndromeとは異なるものの, 血管系の異常の結果生じた稀な疾患単位の可能性があり, きわめて貴重な症例と考えられる. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.60.110 |