歯科用CAD/CAMを用いた根面キャップ製作に関する基礎的検討

目的: 接触式の歯科用CAD/CAMシステムによって, ポストを有する補綴物の1つである根面キャップの製作を試み, その加工精度について検討した. 方法: 歯科用三次元測定/切削システムの1つであるデンタルキャディム (R) を用いて, 以下に示す各原型から根面キャップの試料を製作した. 実験1ではマージン部にベベルを有しない根面キャップで, ポストと根面板の移行部分の形態を変化させた各原型から, それぞれ試料を製作し, それらの原型に対する形態精度について検討した. 次に実験2では, マージン部にベベルを有する根面板について, 同様の製作精度を検討した. さらに実験3では, 切削工程のみを繰...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 46; no. 5; pp. 693 - 701
Main Authors 津田, 賢治, 太田, 学, 連, 直子, 金澤, 毅, 濱田, 弘顕, 服部, 正巳, 中村, 好徳, 田中, 貴信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 2002
日本補綴歯科学会
Subjects
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.46.693

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Summary:目的: 接触式の歯科用CAD/CAMシステムによって, ポストを有する補綴物の1つである根面キャップの製作を試み, その加工精度について検討した. 方法: 歯科用三次元測定/切削システムの1つであるデンタルキャディム (R) を用いて, 以下に示す各原型から根面キャップの試料を製作した. 実験1ではマージン部にベベルを有しない根面キャップで, ポストと根面板の移行部分の形態を変化させた各原型から, それぞれ試料を製作し, それらの原型に対する形態精度について検討した. 次に実験2では, マージン部にベベルを有する根面板について, 同様の製作精度を検討した. さらに実験3では, 切削工程のみを繰り返して複数の試料を製作し, その試料間の形態的バラツキを測定して, 切削時の誤差を検討した. 結果: 実験1では, 根面板とポストの移行部分に明瞭な線角を付与した形態 (Aタイプ) と, 丸みを付与した形態 (Rタイプ) とでは, 前者において, 試料と原型の印象との間に大きな間隙がみられた. また, 実験2における試料と原型との間隙量は, マージン部で0.100mm, ポスト先端部で0.082mmであった. さらに実験3の試料は, 実験2の試料と比較してバラツキは小さかった. 結論: 現在市販されているCAD/CAMによって, 実用的な根面キャップの製作が可能であり, 根面板とポストとの移行部分の形態が適合に影響を及ぼすことが示された. また, このシステムの誤差は, 主に形態測定時に発現することも示唆された.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.46.693