噛みしめ時の歯のひずみに対するマウスガードの効果

目的: スポーツを長期的に行っている選手のなかには, 高度の歯の咬耗, 歯槽骨の吸収, 歯の喪失, 咬合の崩壊が認められるが, その予防にもマウスガードの装着が有効と考えられる. しかし, これらの関係は十分検討されてはおらず, その解明はマウスガードの必要性を啓発するうえで有益と思われる. そこで, 噛みしめによって生ずる歯のひずみに対するマウスガードの効果を検討した. 方法: 被験歯には下顎第一大臼歯を選択し, これにひずみゲージを付与した. 測定は, マウスガードの装着, 非装着時に3種の噛みしめ強さ (10, 50, 100%) で行った. マウスガードの咬合面の厚さは約3mmとした....

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 49; no. 4; pp. 608 - 616
Main Authors 武田, 友孝, 黒川, 勝英, 内藤, 薫, 奈良, 和彦, 蜷川, 雅晴, 宮島, 至郎, 正村, 正仁, 半田, 潤, 川村, 慎太郎, 小島, 一郎, 澁澤, 真美, 小川, 透, 中島, 一憲, 島田, 淳, 石上, 恵一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 2005
日本補綴歯科学会
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Summary:目的: スポーツを長期的に行っている選手のなかには, 高度の歯の咬耗, 歯槽骨の吸収, 歯の喪失, 咬合の崩壊が認められるが, その予防にもマウスガードの装着が有効と考えられる. しかし, これらの関係は十分検討されてはおらず, その解明はマウスガードの必要性を啓発するうえで有益と思われる. そこで, 噛みしめによって生ずる歯のひずみに対するマウスガードの効果を検討した. 方法: 被験歯には下顎第一大臼歯を選択し, これにひずみゲージを付与した. 測定は, マウスガードの装着, 非装着時に3種の噛みしめ強さ (10, 50, 100%) で行った. マウスガードの咬合面の厚さは約3mmとした. 得られた波形の最大値をひずみのデータとし, Mann-Whitneyの検定を行った. 結果: 1.歯のひずみは, マウスガードの有無にかかわらず, 噛みしめ強さが大きくなるに伴い大きくなった. 2. すべての被験者において, 歯のひずみは噛みしめ強さにかかわらず, マウスガード装着によって小さくなり, 50および100%噛みしめ強さでは危険率5%で有意となった. 結論: マウスガードは噛みしめによって歯に生ずるひずみを減ずることができる. よって, マウスガードはコンタクトスポーツにおける外傷予防のみでなく, 強い噛みしめが起こるスポーツにおいて, 歯および歯周組織の負担を減少させる可能性が示唆された.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.49.608