S状結腸子宮内膜症の診断にMRIが有用であった1例

内視鏡,注腸など従来の画像診断に加えMRIが診断に有用であったS状結腸子宮内膜症の1例を経験したので報告する.症例は39歳女性で腹痛を主訴に受診.注腸造影でtransverse ridging, 内視鏡では病変部に一致して片側性に顆粒状粘膜,小隆起に囲まれた中に発赤,びらん面を認めた.生検で炎症細胞浸潤をともなう非特異的所見のみであった.12MHz超音波内視鏡で病変部に一致した全層性の高エコー像を認めた.T1強調MRI像で病変部に相当する肥厚した大腸壁内に出血の存在を示唆する高信号を認め,ガドリニウム造影で同部位に造影効果は認められなかった.以上より腫瘍性病変は否定的と考え,S状結腸子宮内膜症...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 51 - 55
Main Authors 山名, 哲朗, 岡田, 大介, 大橋, 勝久, 松本, 敦夫, 小原, 邦彦, 金古, 康, 小村, 憲一, 岡本, 欣也, 佐原, 力三郎, 高橋, 知子, 古川, 聡美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2008
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.61.51

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Summary:内視鏡,注腸など従来の画像診断に加えMRIが診断に有用であったS状結腸子宮内膜症の1例を経験したので報告する.症例は39歳女性で腹痛を主訴に受診.注腸造影でtransverse ridging, 内視鏡では病変部に一致して片側性に顆粒状粘膜,小隆起に囲まれた中に発赤,びらん面を認めた.生検で炎症細胞浸潤をともなう非特異的所見のみであった.12MHz超音波内視鏡で病変部に一致した全層性の高エコー像を認めた.T1強調MRI像で病変部に相当する肥厚した大腸壁内に出血の存在を示唆する高信号を認め,ガドリニウム造影で同部位に造影効果は認められなかった.以上より腫瘍性病変は否定的と考え,S状結腸子宮内膜症と診断.ホルモン療法により腹痛などの臨床症状は軽快.保存的治療の限界,悪性化の危険性などのインフォームド·コンセントを行った上で本人の希望に沿い注意深い観察のもと経過観察を行っている.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.61.51