Tk抗原のフローサイトメトリーを用いた検討

赤血球膜に存在する潜存性の抗原が後天的に赤血球表面に出現し, 健常人の血清と凝集反応を生じる現象をpolyagglutination(PA)と呼んでいる. この現象は, in vivoでもin vitroでも起こり, 血液型の判定時に問題となることが多く, そのタイプはいくつかに分類されている. このうちTk-PAは1972年Bird&Winghamによって糖尿病で尿路感染を起こしていた患者より見出され1), 本邦でも血液型検査や交差適合試験を実施した時に検出された報告例がある2)~8). 今回われわれは, 転移性脊髄腫瘍の患者にみられたTk-PAを経験し, この患者のTk抗原について...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 42; no. 1; pp. 11 - 15
Main Authors 松崎, 龍典, 福原, 資郎, 大西, 修司, 大谷, 哲司, 石田, 萠子, 阿部, 操, 野村, 昌作, 山岡, 学, 岡前, 文子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1996
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.42.11

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Summary:赤血球膜に存在する潜存性の抗原が後天的に赤血球表面に出現し, 健常人の血清と凝集反応を生じる現象をpolyagglutination(PA)と呼んでいる. この現象は, in vivoでもin vitroでも起こり, 血液型の判定時に問題となることが多く, そのタイプはいくつかに分類されている. このうちTk-PAは1972年Bird&Winghamによって糖尿病で尿路感染を起こしていた患者より見出され1), 本邦でも血液型検査や交差適合試験を実施した時に検出された報告例がある2)~8). 今回われわれは, 転移性脊髄腫瘍の患者にみられたTk-PAを経験し, この患者のTk抗原についてFlow cytometry(FCM)を用いた検討を行ったので報告する. 症例 患者:YM, 59歳, 男性. 主訴:両下肢不全麻痺, 両下肢知覚麻痺, 臀部痛, 左眼中心暗点. 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成4年春頃左腋窩を中心とするしびれ感が出現したが放置されていた. その後しびれ感は胸背部に拡大し, さらに仙骨部を中心とした疼痛および両下肢の脱力感が出現し, また膀胱直腸症状を認めたため近医へ入院, 平成6年7月18日当院第一内科に転院となった.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.42.11