フラクタルカイン

急性および慢性の感染症, 自己免疫疾患, アレルギー性疾患などの炎症性疾患では, T細胞やマクロファージを中心とするリンパ系細胞の集簇的浸潤が認められる. また, 腫瘍周囲や移植臓器拒絶片においても同様の細胞浸潤が認められる. 近年, 接着分子やケモカインに関する膨大な研究成果によって, 免疫担当細胞の流血中から組織中への移行のメカニズムが急速に解明されつつある. 免疫担当細胞は接着カスケードというステップを経て組織中へ移行するが, 免疫担当細胞が最初に接触するのが血管内皮細胞である1). 新たに発見されたフラクタルカインは, 活性化血管内皮細胞上に発現し, ケモカインとしての遊走活性と接着分...

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Published in炎症・再生 Vol. 21; no. 1; pp. 49 - 54
Main Authors 梅原, 久範, 合田, 征司, 堂前, 尚親
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本炎症・再生医学会 2001
日本炎症・再生医学会
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ISSN1346-8022
1880-5795
DOI10.2492/jsir.21.49

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Summary:急性および慢性の感染症, 自己免疫疾患, アレルギー性疾患などの炎症性疾患では, T細胞やマクロファージを中心とするリンパ系細胞の集簇的浸潤が認められる. また, 腫瘍周囲や移植臓器拒絶片においても同様の細胞浸潤が認められる. 近年, 接着分子やケモカインに関する膨大な研究成果によって, 免疫担当細胞の流血中から組織中への移行のメカニズムが急速に解明されつつある. 免疫担当細胞は接着カスケードというステップを経て組織中へ移行するが, 免疫担当細胞が最初に接触するのが血管内皮細胞である1). 新たに発見されたフラクタルカインは, 活性化血管内皮細胞上に発現し, ケモカインとしての遊走活性と接着分子としての機能を合わせもつユニークなケモカインである2~4). 本稿では接着性ケモカインであるフラクタルカインについて紹介し, 単球と血管内皮細胞との接着5)やNK細胞による血管内皮細胞傷害におけるフラクタルカインの関与6)について筆者らの最新の結果を交えながら概説したい.
ISSN:1346-8022
1880-5795
DOI:10.2492/jsir.21.49