山陰帯島根県雲南地域に分布する大東花崗閃緑岩の火成活動

本研究では西南日本弧の山陰帯に産する大東花崗閃緑岩について,野外の産状,岩石記載,帯磁率測定,および全岩化学分析をもとにその火成活動を明らかとした.この岩体は,1)苦鉄質包有岩を普遍的に含むこと,2)自形性の強い普通角閃石もしくは黒雲母を含むこと,3)磁鉄鉱が苦鉄質鉱物に多く伴われること,4)高い帯磁率を有すること(5×10-3 SI単位以上)で特徴づけられる.岩相は中~粗粒普通角閃石黒雲母花崗閃緑岩から中粒黒雲母花崗岩を示し,この変化は斜長石,普通角閃石,および黒雲母の分別結晶作用によって形成されている.本研究により大東花崗閃緑岩の地質図は大幅に改訂され,その結果として貫入時期は約57 Ma...

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Published in地質学雑誌 Vol. 127; no. 8; pp. 461 - 478
Main Authors 鈴木, 博美, 小林, 夏子, 野口, 将志, 亀井, 淳志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 15.08.2021
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.2021.0016

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Summary:本研究では西南日本弧の山陰帯に産する大東花崗閃緑岩について,野外の産状,岩石記載,帯磁率測定,および全岩化学分析をもとにその火成活動を明らかとした.この岩体は,1)苦鉄質包有岩を普遍的に含むこと,2)自形性の強い普通角閃石もしくは黒雲母を含むこと,3)磁鉄鉱が苦鉄質鉱物に多く伴われること,4)高い帯磁率を有すること(5×10-3 SI単位以上)で特徴づけられる.岩相は中~粗粒普通角閃石黒雲母花崗閃緑岩から中粒黒雲母花崗岩を示し,この変化は斜長石,普通角閃石,および黒雲母の分別結晶作用によって形成されている.本研究により大東花崗閃緑岩の地質図は大幅に改訂され,その結果として貫入時期は約57 Maと判明した.既存研究も含めて火成活動を考察すると,大東花崗閃緑岩は山陰バソリスの因美新期貫入岩類(68~53 Ma)における暁新世の火成岩体に位置づけられる.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.2021.0016