ゴールキーパーが失敗を克服する心理的プロセスの検討 サッカーのゴールキーパーは失点をどのように乗り越えるのか

「はじめに」スポーツに関わるアスリートにとって, 怪我や敗戦は避けては通れない試練である (大元, 2012). 確かにアスリートはスポーツを続けて行く上で, 「どん底体験」 (山田, 1999) や「挫折」 (神原, 2009) と表現される困難や失敗経験を多く体験する. 中でもサッカーのゴールキーパー (以下GK) は, 得点が生じにくい競技性や, 藤川 (2004) の「GKは, 失点したら必ず自分のせいにされる」や, 楢崎 (2010) の「GKにとって失点の瞬間は自分に求められているもっとも重要な任務を果たせなかった瞬間」というような語りから, 失点というミスを最も身近に感じるアスリ...

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Published inスポーツ心理学研究 Vol. 42; no. 2; pp. 67 - 79
Main Authors 福井, 邦宗, 豊田, 則成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本スポーツ心理学会 2015
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ISSN0388-7014
1883-6410
DOI10.4146/jjspopsy.2015-1401

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Summary:「はじめに」スポーツに関わるアスリートにとって, 怪我や敗戦は避けては通れない試練である (大元, 2012). 確かにアスリートはスポーツを続けて行く上で, 「どん底体験」 (山田, 1999) や「挫折」 (神原, 2009) と表現される困難や失敗経験を多く体験する. 中でもサッカーのゴールキーパー (以下GK) は, 得点が生じにくい競技性や, 藤川 (2004) の「GKは, 失点したら必ず自分のせいにされる」や, 楢崎 (2010) の「GKにとって失点の瞬間は自分に求められているもっとも重要な任務を果たせなかった瞬間」というような語りから, 失点というミスを最も身近に感じるアスリートの一人であると言える. 特にGKの失点は, 楢崎 (2010) が「失点は屈辱や恐怖や後悔というネガティブな思いとの戦い」と述べるように, 単なるミスでは無く, 様々なネガティブな要素を含む体験であることが示されている.
ISSN:0388-7014
1883-6410
DOI:10.4146/jjspopsy.2015-1401