クロメプロップの毒性試験の概要
クロメプロップについて各種毒性試験を実施し, 安全性評価を行なった. その結果, 本剤の急性毒性は非常に低く, 普通物に該当する. 眼の粘膜に対してごく軽度の刺激性があるが, 症状は早期に回復し実用上問題ない. 皮膚刺激性および感作性は認められていない. 一方, 亜急性および慢性毒性/発がん性試験では体重増加抑制や一部臓器重量の変化がみられ, 血液学的検査や血液生化学検査では中・高用量群に項目の一部に変化が認められたが, 病理組織学的検査では特に問題となるべき病変はみられず, 催腫瘍性も認められなかった. また繁殖性および催奇形性にも異常はなかった. 変異原性については, 染色体異常試験で高濃...
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Published in | Journal of Pesticide Science Vol. 16; no. 1; pp. 125 - 128 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本農薬学会
1991
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ISSN | 1348-589X 1349-0923 |
DOI | 10.1584/jpestics.16.125 |
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Summary: | クロメプロップについて各種毒性試験を実施し, 安全性評価を行なった. その結果, 本剤の急性毒性は非常に低く, 普通物に該当する. 眼の粘膜に対してごく軽度の刺激性があるが, 症状は早期に回復し実用上問題ない. 皮膚刺激性および感作性は認められていない. 一方, 亜急性および慢性毒性/発がん性試験では体重増加抑制や一部臓器重量の変化がみられ, 血液学的検査や血液生化学検査では中・高用量群に項目の一部に変化が認められたが, 病理組織学的検査では特に問題となるべき病変はみられず, 催腫瘍性も認められなかった. また繁殖性および催奇形性にも異常はなかった. 変異原性については, 染色体異常試験で高濃度時, 倍数性細胞がきわめて低頻度で誘発されたが, 染色体異常の発現はみられず, 遺伝子突然変異性, 復帰変異誘発性および小核誘起性も認められなかった. 生体機能に及ぼす影響についても特に異常は認められなかった. クロメプロップは昭和61年2月に登録申請し, 昭和63年3月に登録を取得した. 登録保留基準値は, 米について0.1ppmと設定されている. クロメプロップは定められた使用基準を遵守すれば安全性は確保されるものであり, 本剤を含有した混合剤は農業資材の一つとして上市以来好評を得ている. |
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ISSN: | 1348-589X 1349-0923 |
DOI: | 10.1584/jpestics.16.125 |