亜臨界水によるナイロン6のモノマー化

亜臨界水加水分解によるナイロン6のモノマー化を試みたところ,350℃,16.5 MPa (飽和水蒸気圧),10分において,ナイロン6の分解率は99.1%,ε-カプロラクタムとε-アミノカプロン酸の収率はそれぞれ69.2%と13.4%に達した.また亜臨界水中ではε-カプロラクタムとε-アミノカプロン酸の間には可逆反応が存在し,およそ10:1の平衡モル比でε-カプロラクタムが多く生成した.さらにε-アミノカプロン酸からε-カプロラクタム以外の副生成物が生成した.これらの結果を基に亜臨界水中でのナイロン6の加水分解の反応経路を推測し,一次反応モデルを用いてナイロン6の分解率,ε-カプロラクタムとε-...

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Published in高分子論文集 Vol. 70; no. 12; pp. 731 - 737
Main Authors 岡島, いづみ, 佐古, 猛, 渡邊, 佳織
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2013
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ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.70.731

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Summary:亜臨界水加水分解によるナイロン6のモノマー化を試みたところ,350℃,16.5 MPa (飽和水蒸気圧),10分において,ナイロン6の分解率は99.1%,ε-カプロラクタムとε-アミノカプロン酸の収率はそれぞれ69.2%と13.4%に達した.また亜臨界水中ではε-カプロラクタムとε-アミノカプロン酸の間には可逆反応が存在し,およそ10:1の平衡モル比でε-カプロラクタムが多く生成した.さらにε-アミノカプロン酸からε-カプロラクタム以外の副生成物が生成した.これらの結果を基に亜臨界水中でのナイロン6の加水分解の反応経路を推測し,一次反応モデルを用いてナイロン6の分解率,ε-カプロラクタムとε-アミノカプロン酸の収率の反応時間依存性を計算したところ,実測データを良好に表すことができた.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.70.731