クローン病における直腸肛門管癌の癌スクリーニングの現状と問題点:国内専門施設へのアンケート調査

クローン病は大腸癌の発生リスクが高いことが知られている.本邦では特に痔瘻癌を含む直腸肛門管癌が多く,進行癌で診断されることが多い.今回われわれは厚労省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班の外科系施設を中心とした18施設を対象に,クローン病の直腸肛門管癌への癌サーベイランスに関するアンケート調査を行った.癌スクリーニングの適応や検査項目については,厚労省班の癌サーベイランスプログラム(案)に概ね準じて行われており,肛門病変を10年以上有している症例を癌スクリーニングの対象とする施設が多かった.癌の診断を困難にする要因としては,「肛門・腸管の狭窄症例では内視鏡検査が困難」,「画像所見では炎症...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 71; no. 7; pp. 283 - 290
Main Authors 倉地, 清隆, 福島, 浩平, 佐々木, 巌, 渡辺, 和宏, 亀山, 仁史, 杉田, 昭, 水島, 恒和, 舟山, 裕士, 内藤, 剛, 海野, 倫明, 二見, 喜太郎, 根津, 理一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.71.283

Cover

Loading…
More Information
Summary:クローン病は大腸癌の発生リスクが高いことが知られている.本邦では特に痔瘻癌を含む直腸肛門管癌が多く,進行癌で診断されることが多い.今回われわれは厚労省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班の外科系施設を中心とした18施設を対象に,クローン病の直腸肛門管癌への癌サーベイランスに関するアンケート調査を行った.癌スクリーニングの適応や検査項目については,厚労省班の癌サーベイランスプログラム(案)に概ね準じて行われており,肛門病変を10年以上有している症例を癌スクリーニングの対象とする施設が多かった.癌の診断を困難にする要因としては,「肛門・腸管の狭窄症例では内視鏡検査が困難」,「画像所見では炎症と癌の区別が困難」などの意見が多かった.より早期での診断が可能となる癌サーベイランスプログラムの確立が求められており,現在,厚労省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班で検討がすすめられている.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.71.283