平滑筋腫により生じた上行結腸腸重積症に対して腹腔鏡手術を施行した1例
症例は21歳女性で,2ヵ月前より微熱,倦怠感を認め,近医で投薬加療を受けていた.血液検査で白血球数と血小板数の増加,貧血を認めたため血液疾患を疑い当院紹介となった.右側腹部に腫瘤を触知し,同部位に圧痛を認めた.腹部CT検査にて70mm大の腫瘤を先進部とした上行結腸腸重積と右結腸動脈周囲のリンパ節腫大を認めた.一度は内視鏡的に整復を行ったが再燃したため,緊急腹腔鏡手術を施行した.腫瘍部を先端とし,引きつれるように盲腸は肝下面に移動し,上行結腸は手掌大の腫瘤を形成していた.悪性疾患を疑い結腸右半切除を施行した.病理組織学的検査では粘膜下層に紡錘形細胞の増生を認めたが,核の異型は認めなかった.免疫染...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 72; no. 4; pp. 171 - 175 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2019
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.72.171 |
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Summary: | 症例は21歳女性で,2ヵ月前より微熱,倦怠感を認め,近医で投薬加療を受けていた.血液検査で白血球数と血小板数の増加,貧血を認めたため血液疾患を疑い当院紹介となった.右側腹部に腫瘤を触知し,同部位に圧痛を認めた.腹部CT検査にて70mm大の腫瘤を先進部とした上行結腸腸重積と右結腸動脈周囲のリンパ節腫大を認めた.一度は内視鏡的に整復を行ったが再燃したため,緊急腹腔鏡手術を施行した.腫瘍部を先端とし,引きつれるように盲腸は肝下面に移動し,上行結腸は手掌大の腫瘤を形成していた.悪性疾患を疑い結腸右半切除を施行した.病理組織学的検査では粘膜下層に紡錘形細胞の増生を認めたが,核の異型は認めなかった.免疫染色ではα-SMAとvimentinが陽性であり,平滑筋腫の診断に至った.術後経過は良好であり,第15病日に退院した.術後3年となるが無再発で経過している. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.72.171 |