背筋力発揮時における咀嚼筋筋活動について
目的: 身体運動時においては, 下顎が固定されていると思われるが, その動態については明らかにされていない.そこで, 今回は背筋力を最大発揮した場合の咀嚼筋筋活動様相について検討した. 方法: 被験者は健常有歯顎者9名であり, 汎用背筋力計を用いて背筋力を最大発揮させた.背筋力発揮時およびピーナッツ咀嚼時における側頭筋, 咬筋, および顎二腹筋の筋活動様相を計測した.また, 最大随意噛みしめ時の側頭筋および咬筋の筋活動量と, 最大随意開口抵抗時の顎二腹筋の筋活動量を計測し, 最大随意筋活動量を得た.得られた筋活動量より, 各咀嚼筋の最大随意筋活動量に対する相対比率を求め, 背筋力発揮時, ピー...
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Published in | 日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 50; no. 1; pp. 45 - 53 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本補綴歯科学会
2006
日本補綴歯科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0389-5386 1883-177X |
DOI | 10.2186/jjps.50.45 |
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Summary: | 目的: 身体運動時においては, 下顎が固定されていると思われるが, その動態については明らかにされていない.そこで, 今回は背筋力を最大発揮した場合の咀嚼筋筋活動様相について検討した. 方法: 被験者は健常有歯顎者9名であり, 汎用背筋力計を用いて背筋力を最大発揮させた.背筋力発揮時およびピーナッツ咀嚼時における側頭筋, 咬筋, および顎二腹筋の筋活動様相を計測した.また, 最大随意噛みしめ時の側頭筋および咬筋の筋活動量と, 最大随意開口抵抗時の顎二腹筋の筋活動量を計測し, 最大随意筋活動量を得た.得られた筋活動量より, 各咀嚼筋の最大随意筋活動量に対する相対比率を求め, 背筋力発揮時, ピーナッツ咀嚼時, および最大筋活動量の筋活動量を比較した. 結果: 背筋力発揮時における側頭筋, 咬筋, および顎二腹筋の筋活動はそれぞれ最大随意筋活動量に対して321, 26.4, 97.4%であった.また, ピー一ナッツ咀嚼時における側頭筋, 咬筋, および顎二腹筋の筋活動はそれぞれ最大随意筋活動量に対して40.7, 36.0, 17.3%であった. 結論: 背筋力を発揮する場面においては, 側頭筋および咬筋で約30%, 顎二腹筋で100%近い筋活動がみられた.咀嚼筋群は開閉口筋ともに活動するが, その様相から特に顎二腹筋が下顎の固定筋として密接に関与することが示唆された. |
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ISSN: | 0389-5386 1883-177X |
DOI: | 10.2186/jjps.50.45 |