腹腔鏡下仙骨膣固定術後に,メッシュ感染から脊椎椎間板炎および硬膜外膿瘍を発症した1例

症例は64歳の女性で,骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)術後2ヵ月後に発熱と腰痛で当科入院した.CTでメッシュに沿う膿瘍を認め,膣鏡診察で外子宮口からの排膿を認めた.LSC術後の子宮頸部断端離開に伴うメッシュ感染と考え,経腟的ドレナージを行い解熱後にメッシュ除去の方針とした.入院6日目に再度高熱と腰痛を認め,MRIでL5S1脊椎椎間板炎,硬膜外膿瘍の合併と診断した.整形外科医と相談し,まず開腹メッシュ除去を施行した.術後は特に合併症無く脊椎領域の感染も軽快し,脊椎椎間板炎に準じた期間の抗菌薬投与を行った.術後16ヵ月経過した現在,感染および骨盤臓器脱の再発を認めない.今回筆者らは...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 71; no. 4; pp. 186 - 191
Main Authors 加藤, 健宏, 小林, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2018
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.71.186

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Summary:症例は64歳の女性で,骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)術後2ヵ月後に発熱と腰痛で当科入院した.CTでメッシュに沿う膿瘍を認め,膣鏡診察で外子宮口からの排膿を認めた.LSC術後の子宮頸部断端離開に伴うメッシュ感染と考え,経腟的ドレナージを行い解熱後にメッシュ除去の方針とした.入院6日目に再度高熱と腰痛を認め,MRIでL5S1脊椎椎間板炎,硬膜外膿瘍の合併と診断した.整形外科医と相談し,まず開腹メッシュ除去を施行した.術後は特に合併症無く脊椎領域の感染も軽快し,脊椎椎間板炎に準じた期間の抗菌薬投与を行った.術後16ヵ月経過した現在,感染および骨盤臓器脱の再発を認めない.今回筆者らは,LSC術後に脊椎椎間板炎,硬膜外膿瘍を発症した症例を経験したため,文献報告例の検討を加えて報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.71.186