メタリックステント留置により治療しえた乳頭部癌術後の門脈閉塞による上腸間膜静脈瘤破裂の1例

症例は55歳女性.乳頭部癌で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が施行された.術後に肝動脈瘤破裂を来し, 塞栓術が行われた. 塞栓術数日後, ドレナージチューブから再度少量の出血を認めたが, 経過観察で止血が確認された. しかし, 手術後8カ月経過後, 下血が見られるようになり, 腹部CTで門脈本幹の閉塞, ならびに側副血行路の出現を認めたことから門脈圧充進症による上腸間膜静脈瘤からの出血と考えられた.下血が連日となったため, 当院転院となった. 経皮経肝門脈造影で, 門脈本幹は完全閉塞し, 著明な遠肝路・求肝路が発達していた. 狭窄部は硬く全周性であったため, カッティングバルーンを用いて狭窄部を拡...

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Published in胆道 Vol. 20; no. 1; pp. 50 - 55
Main Authors 高邑, 明夫, 湯浅, 憲章, 齋藤, 博哉, 竹井, 俊樹, 武内, 周平, 鉾立, 博文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2006
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Summary:症例は55歳女性.乳頭部癌で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が施行された.術後に肝動脈瘤破裂を来し, 塞栓術が行われた. 塞栓術数日後, ドレナージチューブから再度少量の出血を認めたが, 経過観察で止血が確認された. しかし, 手術後8カ月経過後, 下血が見られるようになり, 腹部CTで門脈本幹の閉塞, ならびに側副血行路の出現を認めたことから門脈圧充進症による上腸間膜静脈瘤からの出血と考えられた.下血が連日となったため, 当院転院となった. 経皮経肝門脈造影で, 門脈本幹は完全閉塞し, 著明な遠肝路・求肝路が発達していた. 狭窄部は硬く全周性であったため, カッティングバルーンを用いて狭窄部を拡張後, SMARTステント2本を留置した.残存する遠肝路を, 静脈瘤硬化剤を用い塞栓した. 24カ月後の現在もステントの開存性は良好で, ステント留置後下血は認められていない. 門脈閉塞後年数が経過しても, 積極的な IVR の適応になる可能性が示された.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.20.1_50