グアーガムを含む水溶性食物繊維が有効であったdiversion colitisの1例

症例は50代男性,S状結腸膀胱ろうにて紹介,S状結腸切除+一時的回腸ストーマ造設術施行,術後3ヵ月目にストーマ閉鎖予定であったが,S状結腸吻合部狭窄を認めたため,内視鏡的拡張術を先行することとした.吻合部の狭窄に対し拡張術施行し,口側結腸を観察したところ,下行結腸は全周性に血管透見不良で,送気で容易に出血,縦方向のひび割れ所見が出現しdiversion colitis(以下DCと略す)が疑われた.DCに対し,グアーガムを含む水溶性食物繊維を回腸ストーマから肛門側に注入開始とした.投与開始2ヵ月後の内視鏡検査では,前回に比べ発赤軽減,血管透見も良好となり前回認められた炎症所見も改善,生検でもリン...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 70; no. 5; pp. 300 - 303
Main Authors 小島, 康知, 國弘, 真己, 岡島, 正純, 原野, 雅生, 住谷, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2017
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.70.300

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Summary:症例は50代男性,S状結腸膀胱ろうにて紹介,S状結腸切除+一時的回腸ストーマ造設術施行,術後3ヵ月目にストーマ閉鎖予定であったが,S状結腸吻合部狭窄を認めたため,内視鏡的拡張術を先行することとした.吻合部の狭窄に対し拡張術施行し,口側結腸を観察したところ,下行結腸は全周性に血管透見不良で,送気で容易に出血,縦方向のひび割れ所見が出現しdiversion colitis(以下DCと略す)が疑われた.DCに対し,グアーガムを含む水溶性食物繊維を回腸ストーマから肛門側に注入開始とした.投与開始2ヵ月後の内視鏡検査では,前回に比べ発赤軽減,血管透見も良好となり前回認められた炎症所見も改善,生検でもリンパ球浸潤は軽度と改善を認めた.腸管狭窄とDCは改善し術後9ヵ月目にストーマ閉鎖術を施行した.プレバイオティクスとしグアーガムを含有する水様性食物繊維の投与が有効であったDCの1例を経験したので報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.70.300