高位前方切除後6年で発症した壊死型虚血性大腸炎の1例
症例は63歳,男性.約6年前,直腸S状部癌に対し腹腔鏡補助下高位前方切除術D3郭清の既往があった.腹痛,嘔吐にて外来受診され,腹部CT検査および採血所見から腸炎および糖尿病性ケトアシドーシス・劇症1型糖尿病の診断にて保存的加療目的に入院となった.入院翌日に腹痛増悪,腹膜刺激症状を認めたため,腹部CT検査が再検され吻合部口側結腸に気腫像および肝内の門脈ガス像を認め当科に紹介となった.同日,壊死型虚血性腸炎の診断にて緊急開腹手術を施行した.腹腔内には膿性腹水を少量認めたが,吻合部から口側結腸の一部までの限局的な腸管壊死であったため切除吻合を施行した.病理組織学的所見は全層壊死を伴う壊死型虚血性大腸...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 71; no. 4; pp. 197 - 201 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2018
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.71.197 |
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Summary: | 症例は63歳,男性.約6年前,直腸S状部癌に対し腹腔鏡補助下高位前方切除術D3郭清の既往があった.腹痛,嘔吐にて外来受診され,腹部CT検査および採血所見から腸炎および糖尿病性ケトアシドーシス・劇症1型糖尿病の診断にて保存的加療目的に入院となった.入院翌日に腹痛増悪,腹膜刺激症状を認めたため,腹部CT検査が再検され吻合部口側結腸に気腫像および肝内の門脈ガス像を認め当科に紹介となった.同日,壊死型虚血性腸炎の診断にて緊急開腹手術を施行した.腹腔内には膿性腹水を少量認めたが,吻合部から口側結腸の一部までの限局的な腸管壊死であったため切除吻合を施行した.病理組織学的所見は全層壊死を伴う壊死型虚血性大腸炎であった.術後経過は良好で術後1年,問題なく経過している.本邦にて,大腸癌術後に腸管気腫症および門脈ガス血症を合併した壊死型虚血性大腸炎を発症した症例は稀であり,若干の文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.71.197 |