糖尿病教育入院中における理学療法士が関与した 2 型糖尿病患者の身体活動量と血糖コントロールの関係性
要旨 2 型糖尿病患者を対象に,入院中の身体活動量を増加させ,退院後の血糖コントロールを改善するための運動療法プログラム立案の一助とすることを目的とした.そこで,入院中の患者の歩数を記録し,退院後のHbA1c 値に影響する関係因子を調査した. 入院中の2 型糖尿病患者25 例(平均年齢64.4±16.1 歳)を,歩行強度計で測定した1 日平均歩数に基づき,2000 歩以上のA 群,2000 歩未満のB 群に分類し,患者背景,糖尿病関連指標,身体機能の比較及び関係性を検討した.また,退院6 ヵ月後には,入院中の歩数に対するHbA1c 値の差を比較した.退院後の血糖コントロール改善に向けた運動療法...
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Published in | 保健医療学雑誌 Vol. 12; no. 2; pp. 129 - 140 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
保健医療学学会
01.10.2021
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Subjects | |
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ISSN | 2185-0399 |
DOI | 10.15563/jalliedhealthsci.12.129 |
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Summary: | 要旨 2 型糖尿病患者を対象に,入院中の身体活動量を増加させ,退院後の血糖コントロールを改善するための運動療法プログラム立案の一助とすることを目的とした.そこで,入院中の患者の歩数を記録し,退院後のHbA1c 値に影響する関係因子を調査した. 入院中の2 型糖尿病患者25 例(平均年齢64.4±16.1 歳)を,歩行強度計で測定した1 日平均歩数に基づき,2000 歩以上のA 群,2000 歩未満のB 群に分類し,患者背景,糖尿病関連指標,身体機能の比較及び関係性を検討した.また,退院6 ヵ月後には,入院中の歩数に対するHbA1c 値の差を比較した.退院後の血糖コントロール改善に向けた運動療法の目標値を設定するために,歩数と相関があり,2 群間で有意差のあった項目のカットオフ値を,ROC 曲線を用いて算出した.両群を比較した結果,A 群の自己効力感とバランス能力はB 群に比べて有意に高いことが明らかになった.また,中強度歩行時間は,A 群の方がB 群に比べて有意に長かった.A 群では,退院6 ヵ月後にHbA1c 値が有意に低下した.さらに,入院中の歩数と自己効力感,バランス能力,中強度歩行時間との間に有意な正の相関が認められた.カットオフ値は,自己効力感が13 点,開眼片脚立位時間は11.67 秒,中強度歩行時間は4.8 分であった.これらの結果から,入院中の自己効力感,バランス能力,中強度歩行時間が長い2 型糖尿病患者は身体活動量が多く,退院後の血糖コントロールが良好となりやすい可能性が示唆された. |
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ISSN: | 2185-0399 |
DOI: | 10.15563/jalliedhealthsci.12.129 |