炎症性腸疾患患者における出産例の検討

【目的】炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease,IBD)は,妊娠,出産を経験する20~30代に疾患活動性が高いことが多い.IBD合併妊娠症例,特に疾患活動期においては低出生体重児のリスクが高いことも知られているが,この研究では,このような症例での妊娠中の管理に際し注意すべき点を明らかにすることを目的とした.【方法】社会保険中央総合病院(2014年4月東京山手メディカルセンターに改称)産婦人科における1991年から2012年までのIBD合併出産101例,107回(潰瘍性大腸炎(UC)61例,63回,クローン病(CD)42例,44回における疾患重症度と治療内容,出産の結...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 68; no. 1; pp. 13 - 21
Main Authors 酒匂, 美奈子, 岡田, 大介, 山名, 哲郎, 古川, 聡美, 西尾, 梨沙, 河口, 貴昭, 佐原, 力三郎, 岡本, 欣也, 吉村, 直樹, 高添, 正和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2015
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.68.13

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Summary:【目的】炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease,IBD)は,妊娠,出産を経験する20~30代に疾患活動性が高いことが多い.IBD合併妊娠症例,特に疾患活動期においては低出生体重児のリスクが高いことも知られているが,この研究では,このような症例での妊娠中の管理に際し注意すべき点を明らかにすることを目的とした.【方法】社会保険中央総合病院(2014年4月東京山手メディカルセンターに改称)産婦人科における1991年から2012年までのIBD合併出産101例,107回(潰瘍性大腸炎(UC)61例,63回,クローン病(CD)42例,44回における疾患重症度と治療内容,出産の結果についてretrospectiveに検討を行った.【結果】UCにおいては85%以上が寛解もしくは軽症での妊娠であり,経過中の疾患活動性上昇は軽症・中等症の30%にみられたが,98%は2,500g以上の児を得ていた.CDでは活動期での妊娠も40.9%と多く,うち27.8%で増悪,33.3%で活動性持続がみられた.妊娠期間中活動期にあったCD患者では半数以上が低アルブミン血症を合併し,そのうち87.5%は腸管切除歴のある症例であった.低アルブミン血症合併例では子宮内胎児発育不全,早期産の割合が各々15.8%,10.5%と高く,低出生体重児の割合は29%に上った.【結論】IBD合併妊娠の管理においては特に術後CDの栄養管理と活動性コントロールに留意すべきである.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.68.13