CA19-9異常高値を呈した巨大な肛門腺由来粘液癌の1切除例

症例は,63歳男性で,3年前から肛門周囲の腫瘤を自覚していたが放置していた.徐々に増大し滲出液を認めたため前医を受診した.肛門右側に突出する腫瘤を認め,生検で粘液癌と診断された.精査加療目的に当科紹介となった.画像所見では,肛門管右側に多房性の嚢胞様形態をとり,辺縁に石灰化を伴う10×10cm大の嚢胞性腫瘤が認められた.一部前立腺への浸潤が疑われた.側方および鼠径リンパ節の腫大は認められなかった.肛門腺由来粘液癌の術前診断で腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術,両側側方リンパ節郭清術を施行した.病理診断の結果,肛門腺由来粘液癌でリンパ節転移はなく,一部前立腺への粘液の漏出が認められたため,pT4b(前立...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 74; no. 2; pp. 68 - 75
Main Authors 隈元, 謙介, 前田, 雅彦, 浅野, 栄介, 鈴木, 康之, 近藤, 彰宏, 古市, ゆみ, 香山, 浩司, 臼杵, 尚志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2021
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.74.68

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Summary:症例は,63歳男性で,3年前から肛門周囲の腫瘤を自覚していたが放置していた.徐々に増大し滲出液を認めたため前医を受診した.肛門右側に突出する腫瘤を認め,生検で粘液癌と診断された.精査加療目的に当科紹介となった.画像所見では,肛門管右側に多房性の嚢胞様形態をとり,辺縁に石灰化を伴う10×10cm大の嚢胞性腫瘤が認められた.一部前立腺への浸潤が疑われた.側方および鼠径リンパ節の腫大は認められなかった.肛門腺由来粘液癌の術前診断で腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術,両側側方リンパ節郭清術を施行した.病理診断の結果,肛門腺由来粘液癌でリンパ節転移はなく,一部前立腺への粘液の漏出が認められたため,pT4b(前立腺)pN0pM0,StageIIIBであった.術前586U/mlと高値であった腫瘍マーカーCA19-9は術後1ヵ月で3U/mlまで低下した.現在術後2年再発なく経過している.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.74.68