異所性右鎖骨下動脈をともなった真の神経原性胸郭出口症候群の1例

症例は7年の経過で緩徐に右手内筋萎縮が進行した65歳女性.C8,Th1神経根支配筋に一致した筋力低下,筋萎縮をみとめ,神経電気診断では下神経幹の軸索障害が示唆された.CTにて異所性右鎖骨下動脈と長大な右C7横突起をみとめ,MRIでは下神経幹の上方への牽引がうたがわれた.術中所見で右C7横突起に付着する線維性索状物が確認され,これを切除したところ症状の進行は停止した.一側上肢筋萎縮をきたす原因疾患の一つとして真の神経原性胸郭出口症候群は重要であり,診断の補助に焦点を絞った画像診断と,詳細な神経電気診断が有用であった....

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Published in臨床神経学 Vol. 55; no. 3; pp. 155 - 159
Main Authors 関口, 兼司, 齋藤, 貴徳, 横田, 一郎, 古和, 久朋, 苅田, 典生, 戸田, 達史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2015
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Summary:症例は7年の経過で緩徐に右手内筋萎縮が進行した65歳女性.C8,Th1神経根支配筋に一致した筋力低下,筋萎縮をみとめ,神経電気診断では下神経幹の軸索障害が示唆された.CTにて異所性右鎖骨下動脈と長大な右C7横突起をみとめ,MRIでは下神経幹の上方への牽引がうたがわれた.術中所見で右C7横突起に付着する線維性索状物が確認され,これを切除したところ症状の進行は停止した.一側上肢筋萎縮をきたす原因疾患の一つとして真の神経原性胸郭出口症候群は重要であり,診断の補助に焦点を絞った画像診断と,詳細な神経電気診断が有用であった.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.55.155