ピルジカイニドにて著明な心室内伝導障害をきたした筋緊張性ジストロフィーの1例

48歳男性が発作性心房細動, 左心機能低下のため精査入院した。心電図はPQ時間0.24秒, QRS時間0.12秒。左室造影では前壁, 心尖部, および側壁の一部で壁運動低下。冠動脈狭窄はなかった。退院後発作性心房細動に対しピルジカイニド150mg/日を投与したところ, 9日目に心電図上QRS時間0.30秒, QTc 0.46秒の著明な延長をきたした。血中ピルジカイニド濃度は3.30μg/mlと異常高値だった。この時点で筋萎縮, 筋力低下, 顔貌, 筋生検などから筋緊張性ジストロフィー (MyD) と診断した。電気生理学的検査では刺激伝導系全体に障害を認めた。ピルジカイニド再投与試験では中毒症状...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 47; no. 1; pp. 55 - 60
Main Authors 林, 雅人, 渡辺, 一, 高橋, 俊明, 関口, 展代, 福島, 隆三, 伏見, 悦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 1998
日本農村医学会
Subjects
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.47.55

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Summary:48歳男性が発作性心房細動, 左心機能低下のため精査入院した。心電図はPQ時間0.24秒, QRS時間0.12秒。左室造影では前壁, 心尖部, および側壁の一部で壁運動低下。冠動脈狭窄はなかった。退院後発作性心房細動に対しピルジカイニド150mg/日を投与したところ, 9日目に心電図上QRS時間0.30秒, QTc 0.46秒の著明な延長をきたした。血中ピルジカイニド濃度は3.30μg/mlと異常高値だった。この時点で筋萎縮, 筋力低下, 顔貌, 筋生検などから筋緊張性ジストロフィー (MyD) と診断した。電気生理学的検査では刺激伝導系全体に障害を認めた。ピルジカイニド再投与試験では中毒症状は再現されなかった。今回の中毒症状の発現には中等度腎機能障害と負荷依存性の心機能低下が関係していたと考えられた。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.47.55