長大な脊髄病変をともないmultiple biopsiesにて組織診断された血管内リンパ腫の1例

左下肢筋力低下と右大腿後面の感覚低下・異常感覚を発症した45歳男性例を報告する.MRIにて胸髄病変をみとめ,脊髄炎として2度のステロイドパルス療法を施行したが奏功せず,完全対麻痺となった.MRI所見も増悪し,脊髄病変の長大化をみとめた.その後も脊髄症の増悪をみとめ,脊髄,皮膚,直腸,骨髄,筋,腎臓の生検,脾摘を施行した.そのうち,腎生検検体からIVLの病理所見をえることができた.ステロイド治療が奏功しない長大な脊髄病変では,IVLにともなう脊髄症を鑑別診断の1つに加える必要がある.確定診断には神経放射線学的検査をふくめた全身検索と,その結果に基づいた徹底的な組織生検をおこなうことが重要である....

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Published in臨床神経学 Vol. 52; no. 5; pp. 336 - 343
Main Authors 矢部, 一郎, 佐藤, 和則, 高橋, 育子, 村山, 繁雄, 白井, 慎一, 久保田, 佳奈子, 佐々木, 秀直, 加納, 崇裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2012
Subjects
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.52.336

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Summary:左下肢筋力低下と右大腿後面の感覚低下・異常感覚を発症した45歳男性例を報告する.MRIにて胸髄病変をみとめ,脊髄炎として2度のステロイドパルス療法を施行したが奏功せず,完全対麻痺となった.MRI所見も増悪し,脊髄病変の長大化をみとめた.その後も脊髄症の増悪をみとめ,脊髄,皮膚,直腸,骨髄,筋,腎臓の生検,脾摘を施行した.そのうち,腎生検検体からIVLの病理所見をえることができた.ステロイド治療が奏功しない長大な脊髄病変では,IVLにともなう脊髄症を鑑別診断の1つに加える必要がある.確定診断には神経放射線学的検査をふくめた全身検索と,その結果に基づいた徹底的な組織生検をおこなうことが重要である.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.52.336