自己免疫疾患を伴ったICOS欠損症患者姉弟例の解析

ICOS欠損症は世界的にも稀な疾患で、発症年齢が高いことや、一般的なCVIDと同様の、感染の反復や低IgGが見られる程度で、場合によっては重篤な症状が見られないために、その発見は未だ少ない。本症例は、本邦における初めてのICOS欠損症として同定された。姉は現在40歳で、2001年に虫垂炎、肺膿瘍、卵巣嚢胞を起こし、検査にて低ガンマグロブリン血症を指摘された。感染の反復、低IgG、B細胞の減少によりCVIDと診断された。また、炎症性腸疾患、乾癬様湿疹および間接リウマチなどの自己免疫疾患を合併している。CD20細胞は3%程度でCD27+δ-細胞は減少、CD4細胞ではCD45RA+細胞が増加、T細胞...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 35; p. 38
Main Authors 齋藤, 博久, 東, みゆき, 松本, 健治, 水谷, 修紀, 南木, 敏宏, 宮坂, 信之, 高橋, 尚美, 森尾, 友宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2007
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.35.0.38.0

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Summary:ICOS欠損症は世界的にも稀な疾患で、発症年齢が高いことや、一般的なCVIDと同様の、感染の反復や低IgGが見られる程度で、場合によっては重篤な症状が見られないために、その発見は未だ少ない。本症例は、本邦における初めてのICOS欠損症として同定された。姉は現在40歳で、2001年に虫垂炎、肺膿瘍、卵巣嚢胞を起こし、検査にて低ガンマグロブリン血症を指摘された。感染の反復、低IgG、B細胞の減少によりCVIDと診断された。また、炎症性腸疾患、乾癬様湿疹および間接リウマチなどの自己免疫疾患を合併している。CD20細胞は3%程度でCD27+δ-細胞は減少、CD4細胞ではCD45RA+細胞が増加、T細胞レセプターレパトアに大きな偏りはない。FACS解析にて刺激後のICOS発現が欠如しており、配列解析により、exon2にhomoで1塩基欠失があり、細胞外領域にて終止コドンが形成されることが明らかになった。ICOS遺伝子に同じ変異を持つ弟は、IgGは611mg/dlで、明らかな易感染性はないが、外耳道炎、蜂窩識炎を反復し、抗菌薬の静注を必要とすることがある。ICOS-ICOSリガンドのシグナルはcollagen-induced arthritisなどの関節炎、そのほかの自己免疫疾患にて重要な働きを示すことが示唆されており、この症例における関節リウマチの発症機構解析についても紹介する。
Bibliography:W1-8
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.35.0.38.0