虫垂炎に対する単孔式アプローチ法と85例の検討

本邦において虫垂炎に対する腹腔鏡手術は2021年に年間15,983件施行され単孔式アプローチも増加傾向にあるものの2,597例にとどまる.当センターでは虫垂炎に単孔式アプローチを基本としている.当センターでの虫垂炎に対する単孔式腹腔鏡手術の安全性と有効性を後ろ向きに検討した.2020年4月から2022年3月までに虫垂炎に対し単孔式腹腔鏡手術を施行した15歳以上の85例について調査した.術式は虫垂切除術68例,盲腸部分切除術7例で,回盲部切除術10例であり,開腹移行は4例,ポート追加を1例認めた.手術時間は中央値79分で,出血量は0mlであった.術後合併症は13例に認めたがGradeIIIb以上...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 77; no. 3; pp. 161 - 167
Main Authors 大里, 祐樹, 井上, 彬, 西沢, 佑次郎, 辻, 嘉斗, 賀川, 義規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本大腸肛門病学会 2024
Subjects
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.77.161

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Summary:本邦において虫垂炎に対する腹腔鏡手術は2021年に年間15,983件施行され単孔式アプローチも増加傾向にあるものの2,597例にとどまる.当センターでは虫垂炎に単孔式アプローチを基本としている.当センターでの虫垂炎に対する単孔式腹腔鏡手術の安全性と有効性を後ろ向きに検討した.2020年4月から2022年3月までに虫垂炎に対し単孔式腹腔鏡手術を施行した15歳以上の85例について調査した.術式は虫垂切除術68例,盲腸部分切除術7例で,回盲部切除術10例であり,開腹移行は4例,ポート追加を1例認めた.手術時間は中央値79分で,出血量は0mlであった.術後合併症は13例に認めたがGradeIIIb以上(Clavien-Dindo分類)の合併症は認めなかった.術後在院日数は5日であった.様々な虫垂炎に対し94%が臍小切開創のみで対応でき,炎症の程度に応じ術式を変更できる単孔式アプローチは有用である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.77.161