多発するリンパ節腫脹を契機に診断された自己免疫性好中球減少症の1乳児例

症例は月齢8の男児である.発熱,右頸部と側胸部の腫脹を主訴に当院に紹介された.造影CTで輪状の造影効果を伴うリンパ節が左顎下部,右頸部,右側胸部に多発しており,化膿性リンパ節炎が示唆されたが,cefazolinは無効で,meropenem,vancomycin,azithromycinの投与を要した.入院後20日まで好中球減少(58〜496/µl)が持続し,精査の結果,抗好中球抗体であるhuman neutrophil antigen–1aおよび–1bが血清から検出され,自己免疫性好中球減少症の診断に至った.自己免疫性好中球減少症は本症例のような重症感染症の原因になることは少ない.また,多発リ...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 78; no. 5; pp. 531 - 536
Main Authors 曽我, 恭司, 氏家, 岳斗, 渡邊, 佳孝, 齋藤, 秀嘉, 梅田, 陽, 阿部, 祥英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2018
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.78.531

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Summary:症例は月齢8の男児である.発熱,右頸部と側胸部の腫脹を主訴に当院に紹介された.造影CTで輪状の造影効果を伴うリンパ節が左顎下部,右頸部,右側胸部に多発しており,化膿性リンパ節炎が示唆されたが,cefazolinは無効で,meropenem,vancomycin,azithromycinの投与を要した.入院後20日まで好中球減少(58〜496/µl)が持続し,精査の結果,抗好中球抗体であるhuman neutrophil antigen–1aおよび–1bが血清から検出され,自己免疫性好中球減少症の診断に至った.自己免疫性好中球減少症は本症例のような重症感染症の原因になることは少ない.また,多発リンパ節腫脹を契機に診断された症例がないので報告する.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.78.531