胎盤機能に関する基礎・臨床的研究と創薬研究への展開

近年, 低出生体重児や早産の母体などが飛躍的に増加し, 少子高齢社会の大きな問題となっている. とりわけ, 日本における全体の出生数に占める低出生体重児の割合は, 先進国の中でも際立って増加している. さらに, Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD)仮説(胎児期や生後直後の健康・栄養状態が, 成人になってからの健康に影響を及ぼすという考え方)にて警鐘が鳴らされているように, これら低出生体重児の将来的な健康リスク(精神疾患や生活習慣病の発症リスク)が懸念されている. したがって, わが国の将来を担う子供の健康をみつめ, 将来的な健康...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 145; no. 1; pp. 41 - 42
Main Authors 吉江, 幹浩, 東阪, 和馬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.01.2025
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.24-00174-F

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Summary:近年, 低出生体重児や早産の母体などが飛躍的に増加し, 少子高齢社会の大きな問題となっている. とりわけ, 日本における全体の出生数に占める低出生体重児の割合は, 先進国の中でも際立って増加している. さらに, Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD)仮説(胎児期や生後直後の健康・栄養状態が, 成人になってからの健康に影響を及ぼすという考え方)にて警鐘が鳴らされているように, これら低出生体重児の将来的な健康リスク(精神疾患や生活習慣病の発症リスク)が懸念されている. したがって, わが国の将来を担う子供の健康をみつめ, 将来的な健康リスクの早期発見・予防を講じるためには, その大きな要因として疫学的にも示されている「胎児期における発育や環境改善」を図り, 発症させないことが重要となる. 発生過程において, 胎児は母体から独立して存在するのではなく, 胎児の器官が形成される時期から出産までを, 胎盤を介して母体と共存する.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.24-00174-F