ガウンの素材違いによる抗がん剤透過の危険性の検討

「緒言」抗がん剤の安全な取り扱いの基本は防護であり, 皮膚, 気道および口腔の3つの経路からの抗がん剤の進入を阻止しなければならない. 日本病院薬剤師会では抗がん剤を取り扱う医療従事者の職業性曝露を防止するため, 取り扱いに関するガイドラインを制定しており, 抗がん剤調製作業時には, ガウン, マスク, キャップ, 防護メガネおよび手袋の着用を推奨している1). ガウンは体幹および上腕に抗がん剤が付着するのを防止し皮膚からの抗がん剤の進入を阻止するために必要な防護具である. また, 抗がん剤の調製作業時のガウンは, 滅菌済みのディスポーザブル製品で背開きであり, 長袖で袖口があり手袋を着用する...

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Published in医療薬学 Vol. 38; no. 2; pp. 87 - 94
Main Authors 髙橋, 修二, 加藤, 祐太, 小林, 聖子, 金野, 昇, 豊口, 禎子, 志田, 敏宏, 白石, 正, 西村, 雅次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2012
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.38.87

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Summary:「緒言」抗がん剤の安全な取り扱いの基本は防護であり, 皮膚, 気道および口腔の3つの経路からの抗がん剤の進入を阻止しなければならない. 日本病院薬剤師会では抗がん剤を取り扱う医療従事者の職業性曝露を防止するため, 取り扱いに関するガイドラインを制定しており, 抗がん剤調製作業時には, ガウン, マスク, キャップ, 防護メガネおよび手袋の着用を推奨している1). ガウンは体幹および上腕に抗がん剤が付着するのを防止し皮膚からの抗がん剤の進入を阻止するために必要な防護具である. また, 抗がん剤の調製作業時のガウンは, 滅菌済みのディスポーザブル製品で背開きであり, 長袖で袖口があり手袋を着用するとき袖口の上に被せられる形状であること, さらに前面および両腕に薬剤不透過処理が施され, 汚染時には早急に取り替える必要があるが, 内部へ容易に浸透しないようなタイプを選ぶことが推奨されている. しかし, 抗がん剤を扱う施設において, 医療従事者の職業被曝が報告されており2~3), さらに, 防護具を適切に使用していない施設が数多く認められるとの報告がある3).
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.38.87