膵頭部のカルシトニン産生膵内分泌腫瘍核出術後10年目に同部位に多発発生した非機能性内分泌腫瘍の1例

症例は52歳,女性.10年前,膵頭部に認めた4cmのカルシトニン産生膵神経内分泌腫瘍に対して核出術を施行した.術前の血清カルシトニンは438pg/mlと高値であり,組織学的にもカルシトニン染色陽性であった.術後,血清カルシトニンは速やかに20pg/mlまで低下した.初回手術後10年目の造影CT検査で,前回と同じ膵頭部に1~4cmの4個の腫瘍を認めた.多発性の膵神経内分泌腫瘍と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的に,腫瘍細胞はクロモグラニンAなどの内分泌マーカー陽性であったが,初回陽性であったカルシトニンは今回陰性であり,非機能性のNET G2(WHO分類)と診断した.カ...

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Published in膵臓 Vol. 27; no. 5; pp. 716 - 724
Main Authors 藤本, 康二, 東山, 洋, 有光, 竜樹, 小松原, 隆司, 小泉, 直樹, 小柴, 孝友, 西澤, 弘泰, 坂野, 茂, 伊藤, 利江子, 山本, 正之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2012
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Summary:症例は52歳,女性.10年前,膵頭部に認めた4cmのカルシトニン産生膵神経内分泌腫瘍に対して核出術を施行した.術前の血清カルシトニンは438pg/mlと高値であり,組織学的にもカルシトニン染色陽性であった.術後,血清カルシトニンは速やかに20pg/mlまで低下した.初回手術後10年目の造影CT検査で,前回と同じ膵頭部に1~4cmの4個の腫瘍を認めた.多発性の膵神経内分泌腫瘍と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的に,腫瘍細胞はクロモグラニンAなどの内分泌マーカー陽性であったが,初回陽性であったカルシトニンは今回陰性であり,非機能性のNET G2(WHO分類)と診断した.カルシトニン産生膵神経内分泌腫瘍の報告は非常に稀であり,また,10年後に同部位に多発した非機能性内分泌腫瘍が,初回腫瘍の局所再発か新たに発生した腫瘍かを考察する上でも非常に興味深い症例と考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.27.716