全身型単純ヘルペスウイルスII型感染症に髄膜炎および血球貪食症候群を併発した一新生児例

早期新生児期に全身型単純ヘルペスウイルス(HSV)II型感染症を発症し,髄膜炎,ウイルス関連血球貪食症候群(VAHS)を併発した症例を経験した.症例は日齢14の男児.日齢7より無呼吸発作が出現し,活気の低下と易刺激性を認め,肝は腫大し,左上腕に水疱疹を認めた.定量的PCR法にて血漿,髄液,骨髄からHSV II型DNAが検出された.入院時血小板数の減少,低フィブリノゲン血症とフィブリン分解産物(FDP-E, D-dimer)の増加,PT/APTTの延長,高フェリチン血症,AST/LDHの著増,さらに骨髄にて活性化マクロファージによる血球貪食像を認め,HSVによるVAHSと診断した.HSV感染症に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 35; no. 1; pp. 87 - 91
Main Authors 木澤, 敏毅, 新井, 千恵, 岩崎, 志穂, 宮前, 多佳子, 喜多, 麻衣子, 野澤, 智, 横田, 俊平, 原, 拓磨, 菊地, 雅子, 百村, 芽衣, 横須賀, ともこ, 今川, 智之, 田野島, 玲大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2012
Online AccessGet full text
ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.35.87

Cover

More Information
Summary:早期新生児期に全身型単純ヘルペスウイルス(HSV)II型感染症を発症し,髄膜炎,ウイルス関連血球貪食症候群(VAHS)を併発した症例を経験した.症例は日齢14の男児.日齢7より無呼吸発作が出現し,活気の低下と易刺激性を認め,肝は腫大し,左上腕に水疱疹を認めた.定量的PCR法にて血漿,髄液,骨髄からHSV II型DNAが検出された.入院時血小板数の減少,低フィブリノゲン血症とフィブリン分解産物(FDP-E, D-dimer)の増加,PT/APTTの延長,高フェリチン血症,AST/LDHの著増,さらに骨髄にて活性化マクロファージによる血球貪食像を認め,HSVによるVAHSと診断した.HSV感染症に対して60 mg/kg/dアシクロビル(ACV),ビダラビン(Ara A)の投与,VAHSに対してパルミチン酸デキサメタゾン(Lipo-Dex)とシクロスポリンA (CyA)を併用し救命し得た.ACV長期投与にても血漿中のHSV-DNAの陰性化が得られず治療選択に苦慮した.新生児全身型HSV感染症ではVAHSに至ることも多く,抗ウイルス薬投与に加えVAHSに対する積極的な治療介入が重要であることが示唆された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.35.87