前頭側頭開頭術の際に問題となる中硬膜動脈由来眼動脈に対する対処とDSAの役割 失明を避けるために

「はじめに」近年, 高性能の3D-CTA(3-dimentional computed tomography)やMRA(magnetic resonance angiography)の登場とDSAの合併症のリスクにより, 脳動脈瘤の開頭術を行う際にDSAは必ずしも必要とされない. 最近, われわれの施設においても, DSAを施行せずに脳動脈瘤のクリッピング術を行うことが多い. そのため, 動脈瘤のみに関心が集まり, 周囲の血管およびanomalyやvariationを見逃してしまう可能性もある. 眼動脈は通常内頸動脈C2部から分枝し視神経・網膜を栄養するが, まれに中硬膜動脈がその灌流源となっ...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 36; no. 4; pp. 283 - 287
Main Authors 笹森, 徹, 和田, 始, 川崎, 和凡, 木村, 輝雄, 杉村, 敏秀, 谷川, 緑野, 日野, 健, 野田, 公寿茂, 泉, 直人, 橋本, 政明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2008
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.36.283

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Summary:「はじめに」近年, 高性能の3D-CTA(3-dimentional computed tomography)やMRA(magnetic resonance angiography)の登場とDSAの合併症のリスクにより, 脳動脈瘤の開頭術を行う際にDSAは必ずしも必要とされない. 最近, われわれの施設においても, DSAを施行せずに脳動脈瘤のクリッピング術を行うことが多い. そのため, 動脈瘤のみに関心が集まり, 周囲の血管およびanomalyやvariationを見逃してしまう可能性もある. 眼動脈は通常内頸動脈C2部から分枝し視神経・網膜を栄養するが, まれに中硬膜動脈がその灌流源となっているために, 前頭側頭開頭術後の失明を引き起こす原因になるといわれている. MRAや3D-CTAで内頸動脈から眼動脈が描出されない例においては前頭側頭開頭で失明をきたすことのないよう, DSA(digital subtraction angiography)はそのリスクを認識させる手段として欠かせない可能性がある. そこで, 前頭側頭開頭で動脈瘤の手術を予定, または施行した例を対象に術前評価, 手術手技について検討し, DSAの役割について考察した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.36.283