Vibrio vulnificus 感染による壊死性筋膜炎を来し, 死亡したC型肝硬変の1例

肝細胞癌を合併したC型肝硬変患者が, 養殖魚介類の生食を契機に Vibrio vulnificus 感染による壊死性筋膜炎を発症し, 急速な経過をたどった1例を経験したので, 報告する. 患者は市販のマグロ刺身を摂食した翌日より発熱と下腿に限局性の蜂窩織炎変化を認めた. 入院当初より細菌感染に対して, 感受性のある抗菌薬投与と全身管理を行ったにもかかわらず病状は進行し, 壊死性筋膜炎を来した. 壊死性筋膜炎の部位を繰り返しデブリードメントし, ICUにおいてさらに強力な全身管理を行ったが, 多臓器不全が急速に進行し死亡した. 肝硬変などの immuno-compromised host の患者...

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Published in肝臓 Vol. 43; no. 8; pp. 358 - 363
Main Authors 露岡, 清隆, 乾, 可苗, 沖本, 芳春, 稲田, 雅宏, 坂口, 康浩, 関川, 昭, 瀬田, 剛史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2002
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.43.358

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Summary:肝細胞癌を合併したC型肝硬変患者が, 養殖魚介類の生食を契機に Vibrio vulnificus 感染による壊死性筋膜炎を発症し, 急速な経過をたどった1例を経験したので, 報告する. 患者は市販のマグロ刺身を摂食した翌日より発熱と下腿に限局性の蜂窩織炎変化を認めた. 入院当初より細菌感染に対して, 感受性のある抗菌薬投与と全身管理を行ったにもかかわらず病状は進行し, 壊死性筋膜炎を来した. 壊死性筋膜炎の部位を繰り返しデブリードメントし, ICUにおいてさらに強力な全身管理を行ったが, 多臓器不全が急速に進行し死亡した. 肝硬変などの immuno-compromised host の患者が生食用魚介類を摂食した場合や受傷した場合, 弱毒菌感染を契機に, 死に至る場合があることを改めて認識し, 外来および入院患者に十分な生活指導の必要性があると思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.43.358